カテゴリー: サスペンス

上と外(恩田 陸)

中米の某国でクーデターに巻き込まれ、両親とも逸れてしまった兄妹が、密林の中で出会ったものとは。前半は、謎だらけの中で、家族間の微妙な関係性と目まぐるしい展開とがうまく絡み合って展開していくのが面白い。後半はクーデターの大…

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検事の信義(柚月 裕子)

佐方検事シリーズを初読み。検事の仕事は罪をまっとうに裁かせること、という信義がとても熱く伝わってくる。こういう姿勢で仕事をすると敵も増えるだろうが、そうありたいと強く思う一冊だった。孤狼の血の日岡が出てきたのも、違う意味…

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王とサーカス(米澤 穂信)

ネパールで2001年のに起きたナラヤンヒティ王宮事件を背景にしたサスペンス。フリーの記者である主人公が偶然現地にいたことで取材を始めるが、新たな事件が発生する。本作は、ジャーナリズムのあり方、そして読み手である我々の姿勢…

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ガダラの豚(中島 らも)

【第一部】三部作の第一巻は、民俗学者・大生部教授と奇術師ミスター・ミラクルが、新興宗教にはまった大生部の妻を取り戻すため、宗教団体の謎に挑む。人の心が論理的ではないものを信じてしまうのはなぜか、そのメカニズムがわかりやす…

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後妻業(黒川 博行)

高齢の資産家を狙う裏稼業・後妻業を描いた痛快なエンターテインメント小説。登場人物が一癖も二癖もあり、人を騙すことに罪悪感のない人間というのはこんなものかと思う反面、突き抜け過ぎていて不謹慎ながら笑ってしまう。大阪弁の会話…

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教団X(中村 文則)

この本はある意味「人間とは何か?」を問う哲学書だと思う。なぜ人間が存在するのか、なぜ生きるのか、なぜその行為をするのか、苦しみとは、喜びとは何か、そうしたものを考えるが故に迷いながらも、生きていくために何を選択するのか。…

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火の粉(雫井 脩介)

人間の嫌な部分が露になっていくのを見るのはとてつもなく不快だ。なぜなら、同じ感情が自分にもあると認めざるえを得ないから。ある殺人事件の容疑者に無罪判決を下した裁判官家族らを描いた物語だが、辛くても次の展開が気になって頁を…

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