阿岐本組は、素人衆を泣かしちゃいけねえという昔ながらのヤクザである。貸金の取り立てはまだしも、なりゆきで倒産しかけた出版社の経営をすることになる。主人公の日村は阿岐本組のナンバーツーであり、社長となった阿岐本と共に、出版…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
阿岐本組は、素人衆を泣かしちゃいけねえという昔ながらのヤクザである。貸金の取り立てはまだしも、なりゆきで倒産しかけた出版社の経営をすることになる。主人公の日村は阿岐本組のナンバーツーであり、社長となった阿岐本と共に、出版…
中堅ゼネコンの若手社員である富島平太は、公共工事の受注を担当する業務課に異動する。そこは別名・談合課と呼ばれ、きれいごとでは済まない受注競争が繰り広げられていた。 そこに係る人たちは、談合は必要悪だという。もし談合がなけ…
生まれて間もなく、あるいは若いときに、重い病にかかってしまうことがある。若くして人生の幕を下ろしてしまう子供もいる。しかし、幸せかどうかというのは人生の長さでは測れない。そのことを考えさせてくれる場がある。 子どものため…
昭和29年の大阪で、頭部が麻袋に覆われた死体が発見される。大阪市警察、国家地方警察という異なる警察組織が合同で捜査をすることになるが、ちょうどそのころ、国会では警察組織の統合が決議目前となっていた。捜査が始まって間もなく…
若い時には時間は無限に感じられる。振り返ればそれは一瞬の貴重な瞬間だとしても。 高校生しか利用できないSNSオルタネート。同じ高校にいながら、つながりのきっかけはSNSであるというのは、いまや当たり前のことなのかもしれな…
主人公の女性たちは、人生の壁にぶつかって、誰にも言えない悩みを心に抱えている。他人から見れば他愛のないことかもしれないし、関心すら持ってもらいえないかもしれない。しかし、小さなきっかけで人生は良い方向へと変わっていく。ラ…
主人公の秋山秋二は、かつては才能溢れるアートディレクターだった。しかし、七年前に妻が自殺してからは、会社を辞め、銀座にあるぼろ屋で、生きる目的を見失ったまま日々を過ごしていた。その彼の元に、かつての仲間がやってきて、50…
医師・是永史郎は、医大の奨学金免除のため、刑務所の医者として働き始める。そこでは、まず患者が嘘をついていないかどうかを見極めるところから診察が始まる。史郎にとってこの仕事は義務的にこなすだけの仕事であったが、患者たちと向…
すべての「もし」は起こらなかったことだという。冤罪によって狂ってしまった人生は取り返しがつかない。ある家族を襲ったのは、避けられた悲劇だったはずだ。しかし、人を守るはずの法律は機能せず、他人の人生に責任を持つべき法の番人…
三重県四日市の高校に迷い込んだ一匹の犬は、昭和から平成へと過ぎていく時代の中で生徒たちと共に生きた。青春のひと時、かけがえのない出会いがあり、将来を左右する決断があり、切ない別れがあり、その後の人生を支える大きな喜びがあ…