痛みを伴う読書というのはこういうものかと思う。元夫の暴力から逃れ、自分を捨てた母と再開を果たした主人公。そこにあったのは、理想の出会いとはかけ離れた現実だった。共に暮らすようになった人たちは、誰もが深い痛みを抱えて生きて…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
痛みを伴う読書というのはこういうものかと思う。元夫の暴力から逃れ、自分を捨てた母と再開を果たした主人公。そこにあったのは、理想の出会いとはかけ離れた現実だった。共に暮らすようになった人たちは、誰もが深い痛みを抱えて生きて…
このところ走ることに関する本をずっと読んでいる。そして巡り合った一冊。走ると怪我をするのはなぜか、最強の走る民族タラウマラ族はあれほど走り続けられるのか、人にとって走ることとはどんな意味を持つのか。この本を読みながら、な…
自らの脚で走り、海をボートで渡り、二年の歳月をかけて世界を一周した間寛平さんのドキュメントは、今の不穏な社会に平和を求める声として響く足音である。 走っていても確かに国境はある。しかし人の心に国境はない。言葉が通じなくて…
著者にとって走ることは日常生活の一部となっているように思う。多くの市民ランナーにとって、走ることが生活の一部であるのと同じように。仕事やその他のこととのバランスをどのようにとっているのか、その中で走ることにも集中し、自分…
百年にわたる日本マラソン界の歴史を振り返ると、数々の名ランナーが存在していた。本書は、その中から八人を厳選し、それぞれのマラソンに対する取り組み方や、その半生を紹介したもので、42.195キロを走るというある意味では非常…
大学生の就職活動というのは、一歩引いたところから見るとまるで非日常のように見える。企業と大学の騙しあいのようでもあり、裏側から見れば人間の嫌な面ばかりが見えてしまう。物語は某企業の最終面接に進んだ六人が、グループディスカ…
一つの作品が生まれ、人々の目に触れながら、絵もまた人々の変遷を見守っているかのようだ。一枚の絵に連なる人たちの変遷に胸が熱くなった。流れる涙は温かいもので、人を信じたいという気持ちにさせてくれる一冊だった。 オーストラリ…
「俺」がその一言を云えるようになるまでに、どれほどたくさんの時間を費やしてきたのだろう。誰にも気づかれない孤独の中で、真っ黒な胸の内を隠して、自分ではない何かを演じて生きていく人生の辛さよ。血を流しながら、死ぬこともでき…
第二次世界大戦時、ソ連は女性を男性と同じように前線へ送った。この大戦の犠牲者数だけを見ても、ソ連は世界で突出している。多くの命が失われ、戻ってきた人たちも体と心に大きな傷を負っていた。戦線で活躍した男性は、帰還してから称…
小学生から中学生になって思春期を迎え、体も心も変化していく時期。 自分を守るすべを知らず、だから自分を守るために人を傷つける。子供は純粋などという絵空事ではなく、子供ほど残酷であるという事実を思い出し、胃が痛くなるような…