カテゴリー: 4.0

検事の死命(柚月 裕子)

検事・佐方シリーズほど安心して読める法定ミステリーはない。平成版水戸黄門というか、正義の味方ウルトラマンというか、とにかく表現は古いけれど、それくらい安定的に面白い。 シリーズ全作を通じて、とにかくテーマは人である。この…

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魂萌え!(桐野 夏生)

主人公は五十九歳の主婦。恙無い夫婦生活を送ってきた。しかし、夫が突然死してまもなく、夫の携帯電話に女性からの電話がかかってくる。夫の隠し事が明らかになり、また、息子と娘は母親の心など慮ることもなく相続の話をする。仲良くし…

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逃亡者(中村 文則)

かつての戦争で、熱狂(ファナティズム)と称されたトランペット。戦場で多くの血を流させ、軍楽隊に属したトランぺッターをも殺したと云われる楽器。それを手にしたことで命を狙われることになる主人公のライター。 この楽器が発見され…

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ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち(ブレイディみかこ)

イギリスの労働階級のおっさんたちを描いたドキュメントだが、彼らの生き方から社会全体の在り様が見えてくる。特に、ブレグジット(EU離脱)を巡る人々の考えが結構深堀されていて、気づかされることがいくつもあった。労働党を支援し…

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甘夏とオリオン(増山 実)

主人公の甘夏は、大阪で落語の世界に飛び込んだ。しかし、ある日、何の前触れもなく師匠が失踪する。甘夏は兄弟子たちと一緒に「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を始める。 弟子入りした頃の甘夏は、人間としても半人前、社会人と…

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銀花の蔵(遠田 潤子)

奈良の醤油蔵を受け継いでいく家族模様を描いた人間ドラマであり、蔵をめぐるある謎を紐解いていくミステリーでもある本作。様々な伏線が張り巡らされた綿密な構成が素晴らしく、それでいて登場人物たちの表裏両面の心も見事に描いている…

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遠縁の女(青山 文平)

江戸中期の武家を描いた、表題作を含む三篇。 「機織る武家」は、貧しくなっていく家で、家族を支えるために機を織る妻を描く。家には、うだつの上がらない夫と、武家としての生き方に拘わる姑がいて、自分の居場所はとても小さい。一度…

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あしたの君へ(柚月 裕子)

家庭裁判所調査官という仕事がどんな役割を果たしているのか、この作品を読んで少しだけ理解することが出来た。デジタル技術が進んでも、人の心を想像して寄り添えるのは生身の人間しかないと改めて思う。 主人公は研修期間中の調査官補…

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