カテゴリー: 4.5

女人入眼(永井 紗耶子)

鎌倉幕府によっていよいよ武士の世が訪れた。戦のない世が訪れるかに見えたが、京では魑魅魍魎の戦いが如く陰謀が渦巻いていた。北条政子の娘である大姫を入内もまたその一手であり、主人公の周子は大姫入内を成功させるために鎌倉へと遣…

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正欲(朝井 リョウ)

正しい欲求とは何だろうか。異性を見て性的興奮を覚えることは正しい性欲なのだろうか。食欲は、睡眠欲は、正しい欲求なのだろうか。誰がそれを何のために規定するのだろうか。自分がマジョリティに属していると思う人間が、そうでない人…

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ボタニカ(朝井 まかて)

学術研究で名を残す人の横には、名もなき多くの支えがあった。植物学者・牧野富太郎氏のことはこの作品で初めて知ったが、植物への圧倒的な熱量、絶対的な現場主義、純粋すぎるが故にそれ以外のことにはまったく気づかない鈍感さ、あくま…

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塞王の楯(今村 翔吾)

戦国時代、石垣施工の技能集団・穴太衆。その中でも、石垣を築く技術を持った天才を人は塞王と呼んだ。穴太衆の若きリーダーとなった匡介は、絶対に破られない石垣を造れば、戦国の世を終わらせることができると考えていた。 一方、鉄砲…

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楊家将(北方 謙三)

十世紀末の中国大陸は宗の時代であったが、北方の遼とその領土を争っていた。楊家(ようか)は、純粋に戦いのために生きるような一族で、その強さは宗、遼、いずれからも一目置かれる存在であった。この物語は、両国の争いの中で、楊家の…

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ぎょらん(町田 そのこ)

死者は何も語らない。しかし、故人の思いを想像することはある。その思いに引き摺られてしまうこともある。死者が残すという赤い珠を口にすると、その者の最期の願いが見えるという。まるで魚の卵のようなその珠はぎょらんと呼ばれる。 …

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