EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅(スコット・ジュレク)

走るという動作は多くの人にとって当たり前にできることだが、それを100マイル(160キロ)も続けるとなると別の話だ。私もフルマラソンは何度か走ったことがあるが、その何倍もの距離を走るのは想像もつかない。しかも、標高差の激しい山岳部を走り、気温50度というデスバレーを走る。もはや狂気の沙汰である。

しかし、この本を読んでいると、なぜこんなにも過酷なことをするのかを、少しは理解できた気になる。痛みがあるのは当たり前、辛いのは当たり前、しかし前に進まなくてはいけない、乗り越えた先に喜びがあるというのは、人生の歩みとも重なる。

たとえ100マイルとは言え、レースはひとときのものでしかない。もしてやゴールは一瞬の出来事である。大切なのはゴールすることでもなく、優勝という結果でもなく、そこに至る過程なのだと思う。

この作品では走ることだけでなく、食べるということの大切さについて多くの学びがある。食べ物が人の体を作るのだから、その大切さは当たり前なのだが、実際にはあまり深く考えてこなかったことに気づいた。彼ほど徹底はできないとしても、生きていくうえで、食べることについてきちんと考えていきたいと強く思った。

私は遅速の市民ランナーではあるが、自分なりに過程を積み重ね、死ぬまで走り続けていきたい。

個人的おすすめ度 4.5