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直木三十五賞受賞作 – まったくの拓の読書備忘録

カテゴリー: 直木三十五賞受賞作

女人入眼(永井 紗耶子)

鎌倉幕府によっていよいよ武士の世が訪れた。戦のない世が訪れるかに見えたが、京では魑魅魍魎の戦いが如く陰謀が渦巻いていた。北条政子の娘である大姫を入内もまたその一手であり、主人公の周子は大姫入内を成功させるために鎌倉へと遣…

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夜に星を放つ(窪 美澄)

他人には見せない痛みを誰もが抱えて生きている。特に大切な存在を失うことは、伝える言葉を失うほどの痛みだ。そんなとき、いつもと変わらない夜空に美しい星があることに気づく。悲しみのない人生では、幸せに気づくことができないのか…

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塞王の楯(今村 翔吾)

戦国時代、石垣施工の技能集団・穴太衆。その中でも、石垣を築く技術を持った天才を人は塞王と呼んだ。穴太衆の若きリーダーとなった匡介は、絶対に破られない石垣を造れば、戦国の世を終わらせることができると考えていた。 一方、鉄砲…

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黒牢城(米澤 穂信)

荒木村重は有岡城にて織田信長に反旗を翻した。物語は有岡城で起こる事件の謎を突き詰めていく戦国ミステリーだが、憂き世の切なさが溢れる世界が現代社会にも重なって見えた。 秀吉の使者として有岡城に遣わされた黒田官兵衛を、村重は…

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星落ちて、なお(澤田 瞳子)

江戸から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎。絵に対するその姿勢を自ら画鬼と称し、人生のすべてを絵に捧げ、自らの息子や娘にも絵師となることを求めた。娘のとよと暁斎の関係は、親と子ではなく、絵を通した師匠と弟子の関係であった…

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テスカトリポカ(佐藤 究)

麻薬密売、臓器売買など、裏社会のキャピタリズムが淡々としたビジネスとして描かれていく様は、ふと気づくと企業小説を読んでいるかのような錯覚に陥る。そして、裏ビジネスに携わる人々のメンタリティも生々しく描かれ、気づけば共感し…

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心淋し川(西條 奈加)

千駄木の付近に流れていた心川(うらかわ)。その周囲に人々が住み着いて町となった心町(うらまち)。裏町を心町とするところが人情味のある場所を表している。人には言えない事情があってここに住むようになった人たちは、互いに適度な…

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少年と犬(馳 星周)

飼い主を失ったと思われる多聞(たもん)という犬との出会いが、人々の心を隙間を埋めていく。東日本大震災によって仕事をなくした男、窃盗団の外国人など、各章ごとに問題を抱えた人間の視点から描かれる物語だが、主人公はあくまで犬で…

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熱源(川越 宗一)

舞台は明治から昭和にかけての樺太(サハリン)。そこで出会い、そこで生きる人々の声が聞こえてくる。アイヌ人、ポーランド人、日本人、ロシア人、あるいはオロッコなど、それぞれが尊重しあって生きていた場所は、本当の意味での「無知…

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