カテゴリー: 直木三十五賞受賞作

星落ちて、なお(澤田 瞳子)

江戸から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎。絵に対するその姿勢を自ら画鬼と称し、人生のすべてを絵に捧げ、自らの息子や娘にも絵師となることを求めた。娘のとよと暁斎の関係は、親と子ではなく、絵を通した師匠と弟子の関係であった…

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テスカトリポカ(佐藤 究)

麻薬密売、臓器売買など、裏社会のキャピタリズムが淡々としたビジネスとして描かれていく様は、ふと気づくと企業小説を読んでいるかのような錯覚に陥る。そして、裏ビジネスに携わる人々のメンタリティも生々しく描かれ、気づけば共感し…

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心淋し川(西條 奈加)

千駄木の付近に流れていた心川(うらかわ)。その周囲に人々が住み着いて町となった心町(うらまち)。裏町を心町とするところが人情味のある場所を表している。人には言えない事情があってここに住むようになった人たちは、互いに適度な…

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少年と犬(馳 星周)

飼い主を失ったと思われる多聞(たもん)という犬との出会いが、人々の心を隙間を埋めていく。東日本大震災によって仕事をなくした男、窃盗団の外国人など、各章ごとに問題を抱えた人間の視点から描かれる物語だが、主人公はあくまで犬で…

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熱源(川越 宗一)

舞台は明治から昭和にかけての樺太(サハリン)。そこで出会い、そこで生きる人々の声が聞こえてくる。アイヌ人、ポーランド人、日本人、ロシア人、あるいはオロッコなど、それぞれが尊重しあって生きていた場所は、本当の意味での「無知…

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宝島(真藤 順丈)

この物語を読んでなお沖縄に無関心でいられる人がいるのだろうか。「戦争をしないことにした日本の平和がアメリカの傘下に入ることで成立しているなら、その重要基地のほぼすべてを引き受ける地方が国政をつかさどるべきだとは思わないか…

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ビタミンF(重松 清)

40代を目前にしたアラフォーの男たちとその家族を描いた短編集は、この世代を過ごした男性への心の栄養となることはもちろんだが、多くの読者に穏やかな感動を与えてくれる物語だろう。色々あるが、頑張っていこういう気持ちになれる一…

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王妃の離婚(佐藤 賢一)

フランス国王ルイ12世と王妃ジャンヌの離婚訴訟を巡る法廷サスペンスだが、文句なく面白い一冊だった。主人公は弁護士のフランソワで、訴訟を巡る背景と、主人公の人生がクロスして描かれ、どんどん引き込まれた。著者の他作品も読みた…

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