生まれて間もなく、あるいは若いときに、重い病にかかってしまうことがある。若くして人生の幕を下ろしてしまう子供もいる。しかし、幸せかどうかというのは人生の長さでは測れない。そのことを考えさせてくれる場がある。 子どものため…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
生まれて間もなく、あるいは若いときに、重い病にかかってしまうことがある。若くして人生の幕を下ろしてしまう子供もいる。しかし、幸せかどうかというのは人生の長さでは測れない。そのことを考えさせてくれる場がある。 子どものため…
冷戦の時代、米国のCIAがソビエト連邦に立ち向かうために武器としたものに文学があった。ボリス・パステルナークの小説「ドクトル・ジバゴ」は、ロシア革命を批判しているとして言論統制化のソ連では出版されなかった。そこでCIAは…
千駄木の付近に流れていた心川(うらかわ)。その周囲に人々が住み着いて町となった心町(うらまち)。裏町を心町とするところが人情味のある場所を表している。人には言えない事情があってここに住むようになった人たちは、互いに適度な…
農林水産省を追われて証券関連の仕事をしていた古葉慶太は、1996年12月のある日、香港在住のイタリア人富豪から、断ることのできない依頼を受ける。古葉は、そのミッションを遂行するため香港へと渡るが、やがてそれが世界を巻き込…
昭和29年の大阪で、頭部が麻袋に覆われた死体が発見される。大阪市警察、国家地方警察という異なる警察組織が合同で捜査をすることになるが、ちょうどそのころ、国会では警察組織の統合が決議目前となっていた。捜査が始まって間もなく…
若い時には時間は無限に感じられる。振り返ればそれは一瞬の貴重な瞬間だとしても。 高校生しか利用できないSNSオルタネート。同じ高校にいながら、つながりのきっかけはSNSであるというのは、いまや当たり前のことなのかもしれな…
主人公の女性たちは、人生の壁にぶつかって、誰にも言えない悩みを心に抱えている。他人から見れば他愛のないことかもしれないし、関心すら持ってもらいえないかもしれない。しかし、小さなきっかけで人生は良い方向へと変わっていく。ラ…
今だからこそ感じる人との出会い、そして繋がりの大切さ。表題作を含む五編の出会いの物語は、人の温かさを思い出させてくれる素敵な作品ばかりだった。 「八月の銀の雪」は、就活中の大学生と、コンビニで仕事をするベトナム人留学生の…
主人公の秋山秋二は、かつては才能溢れるアートディレクターだった。しかし、七年前に妻が自殺してからは、会社を辞め、銀座にあるぼろ屋で、生きる目的を見失ったまま日々を過ごしていた。その彼の元に、かつての仲間がやってきて、50…
鰻が食べたい──読み終えた第一声はそれだった。 鰻屋「まつむら」へやってくる女子たちの物語だが、5つの物語の中には常に典型的なダメ男の権藤祐一が出てくる。祐一と長く同棲している笑子、学生時代に祐一に告白して拒否された加寿…