この物語を読んでいて、物凄く不快になるのは、主人公のどこかに自分自身の一部を見るからだろうか。善い人間でありたいと願い、少しでも真人間になれるよう努力することは、そうでない自分の現実を認めることなのだろうか。 厭世的、悲…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
この物語を読んでいて、物凄く不快になるのは、主人公のどこかに自分自身の一部を見るからだろうか。善い人間でありたいと願い、少しでも真人間になれるよう努力することは、そうでない自分の現実を認めることなのだろうか。 厭世的、悲…
走るという動作は多くの人にとって当たり前にできることだが、それを100マイル(160キロ)も続けるとなると別の話だ。私もフルマラソンは何度か走ったことがあるが、その何倍もの距離を走るのは想像もつかない。しかも、標高差の激…
鎌倉幕府によっていよいよ武士の世が訪れた。戦のない世が訪れるかに見えたが、京では魑魅魍魎の戦いが如く陰謀が渦巻いていた。北条政子の娘である大姫を入内もまたその一手であり、主人公の周子は大姫入内を成功させるために鎌倉へと遣…
他人には見せない痛みを誰もが抱えて生きている。特に大切な存在を失うことは、伝える言葉を失うほどの痛みだ。そんなとき、いつもと変わらない夜空に美しい星があることに気づく。悲しみのない人生では、幸せに気づくことができないのか…
映画の中では不可能が可能になる。それを実現しようとする特殊造形師マチルダ。彼女は激しい葛藤の中で、長年自らの中に存在している存在を作り上げようとする。そして、ある日突然、姿を消してしまう。 時代は過ぎ、映画の表現にCG技…
人はなぜ罪を犯すのか。そもそも罪とは何なのか。人を殺してしまうほどの動機は何なのか。なぜ殺人事件が起こってしまったのか。違和感のある容疑者の証言を辿っていくと、そこには複数の家族の隠された過去があった。 事件のことを面白…
またしても見事に翻弄された。ホーソーンシリーズ第二段も、癖のある元刑事ホーソーンと、作家アンソニー・ホロヴィッツのコンビが殺人事件の謎を追う物語。たくさんある伏線らしき仕掛け、多くの疑わしい関係者たち、それらを総合して犯…
物語は、ある女性が葬儀屋を訪れ、自らの葬儀を準備し、その日に亡くなるというところから始まる。この事件を解決するために活躍するのは、元刑事のホーソーンと作家ホロヴィッツである。癖のある探偵とその相棒というコンビは、探偵小説…
痛みを伴う読書というのはこういうものかと思う。元夫の暴力から逃れ、自分を捨てた母と再開を果たした主人公。そこにあったのは、理想の出会いとはかけ離れた現実だった。共に暮らすようになった人たちは、誰もが深い痛みを抱えて生きて…
オリンピックのマラソン代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。選手たちがどのようなドラマを経てスタートラインに立ったのか。なぜ走るのか。そして、42.195キロの中でどのような駆け引きがあり、それぞれが…