公平な社会なんてありえない。しかし、存在が比較対象になるならまだましかもしれない。そこにいながら、いないことにされている者が少なからずいることの現実(リアル)。 アル中の母親と暮らす14歳の少女ミアと弟のチャーリーにとっ…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
公平な社会なんてありえない。しかし、存在が比較対象になるならまだましかもしれない。そこにいながら、いないことにされている者が少なからずいることの現実(リアル)。 アル中の母親と暮らす14歳の少女ミアと弟のチャーリーにとっ…
他人には見せない痛みを誰もが抱えて生きている。特に大切な存在を失うことは、伝える言葉を失うほどの痛みだ。そんなとき、いつもと変わらない夜空に美しい星があることに気づく。悲しみのない人生では、幸せに気づくことができないのか…
痛みを伴う読書というのはこういうものかと思う。元夫の暴力から逃れ、自分を捨てた母と再開を果たした主人公。そこにあったのは、理想の出会いとはかけ離れた現実だった。共に暮らすようになった人たちは、誰もが深い痛みを抱えて生きて…
オリンピックのマラソン代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。選手たちがどのようなドラマを経てスタートラインに立ったのか。なぜ走るのか。そして、42.195キロの中でどのような駆け引きがあり、それぞれが…
一つの作品が生まれ、人々の目に触れながら、絵もまた人々の変遷を見守っているかのようだ。一枚の絵に連なる人たちの変遷に胸が熱くなった。流れる涙は温かいもので、人を信じたいという気持ちにさせてくれる一冊だった。 オーストラリ…
正しい欲求とは何だろうか。異性を見て性的興奮を覚えることは正しい性欲なのだろうか。食欲は、睡眠欲は、正しい欲求なのだろうか。誰がそれを何のために規定するのだろうか。自分がマジョリティに属していると思う人間が、そうでない人…
「俺」がその一言を云えるようになるまでに、どれほどたくさんの時間を費やしてきたのだろう。誰にも気づかれない孤独の中で、真っ黒な胸の内を隠して、自分ではない何かを演じて生きていく人生の辛さよ。血を流しながら、死ぬこともでき…
学術研究で名を残す人の横には、名もなき多くの支えがあった。植物学者・牧野富太郎氏のことはこの作品で初めて知ったが、植物への圧倒的な熱量、絶対的な現場主義、純粋すぎるが故にそれ以外のことにはまったく気づかない鈍感さ、あくま…
同じ日は二度とない。同じ人生もない。普通ということも実はひとつもない。すべての人の人生が特別だ。そのことを意識する必要もないほどに。 十二編の物語は、遠くの誰かの物語のようで、すぐ隣の誰かのような気もする。私の人生は誰か…
小学生から中学生になって思春期を迎え、体も心も変化していく時期。 自分を守るすべを知らず、だから自分を守るために人を傷つける。子供は純粋などという絵空事ではなく、子供ほど残酷であるという事実を思い出し、胃が痛くなるような…