カテゴリー: 純文学

一人称単数(村上 春樹)

久しぶりに読んだ村上春樹の本──。自分の部屋の本棚にあるのを人に見られたら、なんとなく気恥ずかしい感じがするし、本屋さんで平積みになっているのを買うと、ハルキストを気取ってると思われるんじゃないかと自意識過剰になってしま…

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破局(遠野 遥)

自分は何者かであるかを深くは考えず、ただ何者かではあるのだろうと漠然と信じて、ただ本能のあるがままに日々を過ごす学生時代。何も考えずに熱くなれたラグビーがあったのはついこの前のこと。前の彼女と、今の彼女、自分にとって都合…

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首里の馬(高山 羽根子)

沖縄の郷土資料館で資料整理を手伝う主人公の未名子は、ある変わった仕事を始める。それは、遠くにいる人たちにオンラインでクイズを出題して交流するというものだった。そして、ある日、未名子が暮らす家の庭に大きな動物が迷い込んでく…

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ヘヴン(川上 未映子)

公平な世の中など幻想に過ぎない。十四歳の僕が知った現実だった。だから自分でどう生きるかを決めなくてはいけなかった。たった一人の友達だった彼女がそのことを教えてくれていたのに。圧倒的な切なさと虚しさ。彼が最後に見た普通の世…

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空港にて(村上 龍)

八つのシチュエーションで、そこにいた人々がどのような過程を経てそこに至り、その瞬間何を考え、そしてどこへ向かおうとしているかを描いた短編集。 「コンビニにて」始まり、居酒屋、公園、カラオケルーム、披露宴会場、クリスマス、…

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王国(中村 文則)

「掏摸」の兄妹編でもある本作品も、木崎に運命を握られてもてあそばれる主人公が描かれている。自分で人生を選んでいるつもりでも、実は大きな力によって運命が操られているのかもしれない。それでもなお抗って生きようとする人間という…

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人間(又吉 直樹)

主人公の永山が何者かであろうとして考え、行動することに共感すると、そのあとでその共感が凡人の域を出ないことを指摘される。そこには情けなさがあり、でも凡人であることを受け入れてしまう自分がいる。本を読みながら、そんなことが…

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背高泡立草(古川 真人)

長崎の島にある古い納屋、その芝刈りに向かう親族たち。いまや無人になっているその場所をなぜきれいに維持しなくてはいけないのかと娘は母たちに尋ねる。答えを聞くことは簡単だが、自分で考えてみること、調べてみること、そして感じる…

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伊豆の踊子(川端 康成)

ノーベル文学賞作家・川端康成氏の作品は、過去に「眠れる美女」しか読んだことがなかった。今回、二十代の頃に書いた名作「伊豆の踊子」を読み、著者の若々しい感性に触れた。二十歳の青年が一人旅の途中で旅芸人の一団と出会い、その中…

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