鎌倉幕府によっていよいよ武士の世が訪れた。戦のない世が訪れるかに見えたが、京では魑魅魍魎の戦いが如く陰謀が渦巻いていた。北条政子の娘である大姫を入内もまたその一手であり、主人公の周子は大姫入内を成功させるために鎌倉へと遣…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
鎌倉幕府によっていよいよ武士の世が訪れた。戦のない世が訪れるかに見えたが、京では魑魅魍魎の戦いが如く陰謀が渦巻いていた。北条政子の娘である大姫を入内もまたその一手であり、主人公の周子は大姫入内を成功させるために鎌倉へと遣…
戦国時代、石垣施工の技能集団・穴太衆。その中でも、石垣を築く技術を持った天才を人は塞王と呼んだ。穴太衆の若きリーダーとなった匡介は、絶対に破られない石垣を造れば、戦国の世を終わらせることができると考えていた。 一方、鉄砲…
荒木村重は有岡城にて織田信長に反旗を翻した。物語は有岡城で起こる事件の謎を突き詰めていく戦国ミステリーだが、憂き世の切なさが溢れる世界が現代社会にも重なって見えた。 秀吉の使者として有岡城に遣わされた黒田官兵衛を、村重は…
十世紀末の中国大陸は宗の時代であったが、北方の遼とその領土を争っていた。楊家(ようか)は、純粋に戦いのために生きるような一族で、その強さは宗、遼、いずれからも一目置かれる存在であった。この物語は、両国の争いの中で、楊家の…
歴史を学ぶというのは、年号を覚えることに非ず。なぜ人々がそのような歴史を歩んだのか、そこにあった人々の心を想像し、未来への学びとすることこそ、歴史に学ぶということなのだろう。そのことを痛感させられる作品である。 小中学生…
明治初期から大正、昭和と、激動の時代を生きた河井道という女性。その視線の先には、すべての人々が平等な社会と、それに基づく世界平和という大きな志があった。女性の社会的な役割を認め、教育機会を作り、地位を向上することは、今な…
日本人女性として最初のイコン画家となった山下りんの物語。明治初期、絵師を目指すために茨城から江戸へ出たりんは、西洋画と出会い、その道を目指しはじめる。そして、絵を共に学ぶ仲間から、ロシヤ正教の教会へ来れば西洋画を見ること…
江戸から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎。絵に対するその姿勢を自ら画鬼と称し、人生のすべてを絵に捧げ、自らの息子や娘にも絵師となることを求めた。娘のとよと暁斎の関係は、親と子ではなく、絵を通した師匠と弟子の関係であった…
人生はひとつの出会いで変わっていく。それに良いも悪いもないが、ついたらればを考えてしまう。過ぎた過去は変えられないが、未来は変えられるかもしれない。だから、読後もしばらく物語の世界に浸りながら、高瀬庄左衛門やその周囲の人…
先日、「始まりの木」(夏川草介著)を読み、やはり「遠野物語」を読まなくてはと積読本から抜き出してじっくりと読んだ。少しずつ消化しながら読んだつもりだが、理解しきれていないところも多々ある。しかし、日本という国、そして日本…