主人公は大手広告代理店の副部長。彼が所属する部署を指名して、某企業のコンペへの参加依頼が届く。内部干渉とも言えるような部署の指名の理由は何なのか。このコンペに臨む上司や新人など同僚たちの活躍、あるいは足を引っ張る者たちの…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
主人公は大手広告代理店の副部長。彼が所属する部署を指名して、某企業のコンペへの参加依頼が届く。内部干渉とも言えるような部署の指名の理由は何なのか。このコンペに臨む上司や新人など同僚たちの活躍、あるいは足を引っ張る者たちの…
すごい本に出会ってしまった。目から鱗とはまさにこのことだ。 マラソン王国であるエチオピアで、自らもフルマラソンを2時間20分で走る著者が、ランナーたちと共に暮らしながら、彼らがどのように日々を生きているのか、どのような意…
第二次世界大戦で女性を兵士として戦場に送ったソ連。女性として、ロシア人として、人として、何のために戦うのか、そして戦った後に何があるのか、いくつもの問いかけが弾丸のような速さで戦場を駆け抜けていく。圧倒的な臨場感、そして…
悲しみは忌むべきものではない。悲しみを知るからこそ人は人たりえるのではないか。そうして考えてみると、腑に落ちることがあった。26編のエッセイには、作家や哲学者が残した文章や詩、和歌などが引用され、悲しみや孤独と向き合うき…
歴史を学ぶというのは、年号を覚えることに非ず。なぜ人々がそのような歴史を歩んだのか、そこにあった人々の心を想像し、未来への学びとすることこそ、歴史に学ぶということなのだろう。そのことを痛感させられる作品である。 小中学生…
生きづらさを感じる瞬間や、自分が生きている意味を見失うとき、たった一人でも寄り添ってくれる人がいたら、それだけで前を向いて生きて行ける気がする。表面だけではわからない優しさや、笑顔の底にある厳しい決意があったりする。そう…
また凄い本に巡り合ってしまった。信仰というものがどのように形成されていくのか、日本における宗教というものはどういう位置づけなのか、風習はどのように変化してくのかなどが、しっかりとした資料と共に示されていて、小説を読む楽し…
読み終えてなお、この作品の世界にしばらく浸っていたかった。自分自身が年齢を経て過去を顧みたとき、どのような感慨を抱くのだろうかと、そんな想像をしたくなる読後感があった。 子供のころ、ある事件から栄光の五人組と言われるよう…
連合赤軍による事件が起こったのは私が生まれる数年前のこと。出来事としては知っていたが、極左集団によるテロ事件という程度の認識しかなかった。この作品の主人公は、連合赤軍に参加した一人の女性。逮捕されて服役したのち、当時の仲…
未来を照らす一冊を見つけた。 民俗学を専攻する大学院生の藤崎千佳は、偏屈な民俗学者・古屋神寺郎の元で学んでいる。千佳は、脚の悪い古屋の荷物持ちとして各地を一緒に巡りながら、民俗学とは何を学ぶ学問なのかということから、そも…