この物語を読んでいて、物凄く不快になるのは、主人公のどこかに自分自身の一部を見るからだろうか。善い人間でありたいと願い、少しでも真人間になれるよう努力することは、そうでない自分の現実を認めることなのだろうか。 厭世的、悲…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
この物語を読んでいて、物凄く不快になるのは、主人公のどこかに自分自身の一部を見るからだろうか。善い人間でありたいと願い、少しでも真人間になれるよう努力することは、そうでない自分の現実を認めることなのだろうか。 厭世的、悲…
映画の中では不可能が可能になる。それを実現しようとする特殊造形師マチルダ。彼女は激しい葛藤の中で、長年自らの中に存在している存在を作り上げようとする。そして、ある日突然、姿を消してしまう。 時代は過ぎ、映画の表現にCG技…
収録されている短編7編は、決して後味の良い作品とは言えないが、人間の自分勝手な部分や、都合よく解釈してしまう理解力、あるいはそした人間社会の未来にある日常などを描いた作品群は、まさにこのタイトルのカミサマはそういないとい…
交通事故で病院に搬送された女性は、ある男によって少女たちとともに監禁されていた。ハナという少女によると、事故にあったのは彼女の母親レナだという。その名前から、レナは十年以上前に行方不明になっていた女性の可能性があり、その…
麻薬密売、臓器売買など、裏社会のキャピタリズムが淡々としたビジネスとして描かれていく様は、ふと気づくと企業小説を読んでいるかのような錯覚に陥る。そして、裏ビジネスに携わる人々のメンタリティも生々しく描かれ、気づけば共感し…
東日本大震災が露わにしたのは、この国に住む人が気づかないふりをしてきた沢山の綻びだったのだろうか。絆の大切さが語られる一方、人の不幸を踏み台にした幸せが存在していることが露わになったのではないか。この物語は、闇の市場で売…
少女は大量のドーナツに囲まれて死んだ。彼女は、かつての同級生の娘らしい。美容整形外科医の橘久乃は、彼女の死の真相を求めて関係者に話を聞いていくが、そこには人々が抱えるコンプレックスの欠片(カケラ)が散らばっていた。 太っ…
農林水産省を追われて証券関連の仕事をしていた古葉慶太は、1996年12月のある日、香港在住のイタリア人富豪から、断ることのできない依頼を受ける。古葉は、そのミッションを遂行するため香港へと渡るが、やがてそれが世界を巻き込…
些細な人生の選択が、やがて大きな綻びとなることがある。それは自分自身にとってだけでなく、誰かの人生にも大きな影響を与える。振り返れば、だれもがそういう分岐点を通過して今を生きているのだろう。 末期がんの妻に、過去を悔恨を…
レイアは閉ざされた世界で生きていた。唯一、頼ることができるのは父王だけだが、光が見えなくても、心を覆うのは暗闇ではない。しかし、平穏な日々は永遠ではなかった。 この物語において、闇と表現されるものは、物理的な光だけではな…