農林水産省を追われて証券関連の仕事をしていた古葉慶太は、1996年12月のある日、香港在住のイタリア人富豪から、断ることのできない依頼を受ける。古葉は、そのミッションを遂行するため香港へと渡るが、やがてそれが世界を巻き込…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
農林水産省を追われて証券関連の仕事をしていた古葉慶太は、1996年12月のある日、香港在住のイタリア人富豪から、断ることのできない依頼を受ける。古葉は、そのミッションを遂行するため香港へと渡るが、やがてそれが世界を巻き込…
些細な人生の選択が、やがて大きな綻びとなることがある。それは自分自身にとってだけでなく、誰かの人生にも大きな影響を与える。振り返れば、だれもがそういう分岐点を通過して今を生きているのだろう。 末期がんの妻に、過去を悔恨を…
レイアは閉ざされた世界で生きていた。唯一、頼ることができるのは父王だけだが、光が見えなくても、心を覆うのは暗闇ではない。しかし、平穏な日々は永遠ではなかった。 この物語において、闇と表現されるものは、物理的な光だけではな…
自転車ロードレースの世界を描いた傑作「サクリファイス」の続編。フランスのチームに移籍した白石誓たちはツール・ド・フランスに挑む。三週間かけてフランス全土を走るレースの中で、男たちのドラマが繰り広げられる。 次年度にはスポ…
中年夫婦のもとにやってきた仔猫。流産で子を亡くしたばかりの夫婦は猫を捨てに行く前半、その描写は生々しく残酷にも思える。しかし、命を安易に扱わないという観点では、無責任に餌付けしたりすることよりも現実的な選択に思える。捨て…
日本をはじめ世界で猛威を振るっているコロナウイルスへの対応、並びに腐敗した現政権や官僚への批判が込められた物語である。フィクションではあるが、これを読んで日本の現状を重ねない人はいないだろう。 医療機関におけるコロナ対策…
かつての戦争で、熱狂(ファナティズム)と称されたトランペット。戦場で多くの血を流させ、軍楽隊に属したトランぺッターをも殺したと云われる楽器。それを手にしたことで命を狙われることになる主人公のライター。 この楽器が発見され…
人の死は当たり前のことだ。それが殺人となると特殊なことになる。しかし、日常的にたくさんの殺人が繰り返されたら、人間はどうなっていくのだろう。 死を導いてしまうトランジと、彼女に寄り添い続けるピエタ。二人は特別な社会を目指…
「世の中で一番価値のない男」が、生きる価値を見出したものは、恋だったのか、狂気だったのか。決して届かない思いの結末は悲劇なのか、それとも幸福の欠片があったのだろうか。 ハンディキャップを背負い、容姿にも強いコンプレックス…
妻を亡くし、娘を亡くした安藤聡は、生きる気力を失っているように見えた。その安藤に、小沢早苗は「なぜ謝るんですか?」と聞く。もし早苗の存在がなかったら、彼はこの物語の最後まで生きていることはなかっただろう。 安藤は、娘が死…