自転車ロードレースの世界を描いた傑作「サクリファイス」の続編。フランスのチームに移籍した白石誓たちはツール・ド・フランスに挑む。三週間かけてフランス全土を走るレースの中で、男たちのドラマが繰り広げられる。 次年度にはスポ…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
自転車ロードレースの世界を描いた傑作「サクリファイス」の続編。フランスのチームに移籍した白石誓たちはツール・ド・フランスに挑む。三週間かけてフランス全土を走るレースの中で、男たちのドラマが繰り広げられる。 次年度にはスポ…
中年夫婦のもとにやってきた仔猫。流産で子を亡くしたばかりの夫婦は猫を捨てに行く前半、その描写は生々しく残酷にも思える。しかし、命を安易に扱わないという観点では、無責任に餌付けしたりすることよりも現実的な選択に思える。捨て…
日本をはじめ世界で猛威を振るっているコロナウイルスへの対応、並びに腐敗した現政権や官僚への批判が込められた物語である。フィクションではあるが、これを読んで日本の現状を重ねない人はいないだろう。 医療機関におけるコロナ対策…
かつての戦争で、熱狂(ファナティズム)と称されたトランペット。戦場で多くの血を流させ、軍楽隊に属したトランぺッターをも殺したと云われる楽器。それを手にしたことで命を狙われることになる主人公のライター。 この楽器が発見され…
人の死は当たり前のことだ。それが殺人となると特殊なことになる。しかし、日常的にたくさんの殺人が繰り返されたら、人間はどうなっていくのだろう。 死を導いてしまうトランジと、彼女に寄り添い続けるピエタ。二人は特別な社会を目指…
「世の中で一番価値のない男」が、生きる価値を見出したものは、恋だったのか、狂気だったのか。決して届かない思いの結末は悲劇なのか、それとも幸福の欠片があったのだろうか。 ハンディキャップを背負い、容姿にも強いコンプレックス…
妻を亡くし、娘を亡くした安藤聡は、生きる気力を失っているように見えた。その安藤に、小沢早苗は「なぜ謝るんですか?」と聞く。もし早苗の存在がなかったら、彼はこの物語の最後まで生きていることはなかっただろう。 安藤は、娘が死…
平成が始まるときに生まれ、平成の終わりまで生きた、ブルー呼ばれた男がいた。彼の人生は、平成という時代に日本社会が抱えた問題を、罪という形で背負っているようだった。人の人生を、辛かったとか、不幸だったと他人が評することはで…
ミステリー要素あり、コメディあり、歴史、青春スポ根、そして文学と、様々な要素が奇想天外な物語の中に凝縮されている、まさに万城目ワールドといえる作品。「あおによし」は奈良を表す枕詞で、奈良の女子高に教師として赴任した主人公…
聖人ばかりであれば犯罪は起きないのかといえば否だろう。技術革新によって操作のあり方は人間の心を超えていく。しかし、警察官もまた人間だという当たり前のことに気づかされる。ラストシーンにある上山の葛藤。警察としてどうあるべき…