日本をはじめ世界で猛威を振るっているコロナウイルスへの対応、並びに腐敗した現政権や官僚への批判が込められた物語である。フィクションではあるが、これを読んで日本の現状を重ねない人はいないだろう。 医療機関におけるコロナ対策…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
日本をはじめ世界で猛威を振るっているコロナウイルスへの対応、並びに腐敗した現政権や官僚への批判が込められた物語である。フィクションではあるが、これを読んで日本の現状を重ねない人はいないだろう。 医療機関におけるコロナ対策…
かつての戦争で、熱狂(ファナティズム)と称されたトランペット。戦場で多くの血を流させ、軍楽隊に属したトランぺッターをも殺したと云われる楽器。それを手にしたことで命を狙われることになる主人公のライター。 この楽器が発見され…
人の死は当たり前のことだ。それが殺人となると特殊なことになる。しかし、日常的にたくさんの殺人が繰り返されたら、人間はどうなっていくのだろう。 死を導いてしまうトランジと、彼女に寄り添い続けるピエタ。二人は特別な社会を目指…
「世の中で一番価値のない男」が、生きる価値を見出したものは、恋だったのか、狂気だったのか。決して届かない思いの結末は悲劇なのか、それとも幸福の欠片があったのだろうか。 ハンディキャップを背負い、容姿にも強いコンプレックス…
妻を亡くし、娘を亡くした安藤聡は、生きる気力を失っているように見えた。その安藤に、小沢早苗は「なぜ謝るんですか?」と聞く。もし早苗の存在がなかったら、彼はこの物語の最後まで生きていることはなかっただろう。 安藤は、娘が死…
平成が始まるときに生まれ、平成の終わりまで生きた、ブルー呼ばれた男がいた。彼の人生は、平成という時代に日本社会が抱えた問題を、罪という形で背負っているようだった。人の人生を、辛かったとか、不幸だったと他人が評することはで…
ミステリー要素あり、コメディあり、歴史、青春スポ根、そして文学と、様々な要素が奇想天外な物語の中に凝縮されている、まさに万城目ワールドといえる作品。「あおによし」は奈良を表す枕詞で、奈良の女子高に教師として赴任した主人公…
聖人ばかりであれば犯罪は起きないのかといえば否だろう。技術革新によって操作のあり方は人間の心を超えていく。しかし、警察官もまた人間だという当たり前のことに気づかされる。ラストシーンにある上山の葛藤。警察としてどうあるべき…
中米の某国でクーデターに巻き込まれ、両親とも逸れてしまった兄妹が、密林の中で出会ったものとは。前半は、謎だらけの中で、家族間の微妙な関係性と目まぐるしい展開とがうまく絡み合って展開していくのが面白い。後半はクーデターの大…
9.11のテロ事件から物語が始まる。金で人を支配し貶めようとする金融会社の会長と、そこに解雇された主人公らが、ゴッホの絵の売買を巡って戦う物語。悪徳金融会社の会長、美術コンサルタント、刑事、暗殺者、そしてゴッホの名画を所…