ホームホスピスを作ると宣言してつくられたきりんの家には、人生の最期をどう生きるかを考える人たちがいる。入居者だけでなく、その家族、そして支援する人たち、みんなでお互いの人生がどうあるべきかを考えて行動している。 この本に…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
ホームホスピスを作ると宣言してつくられたきりんの家には、人生の最期をどう生きるかを考える人たちがいる。入居者だけでなく、その家族、そして支援する人たち、みんなでお互いの人生がどうあるべきかを考えて行動している。 この本に…
沖縄の郷土資料館で資料整理を手伝う主人公の未名子は、ある変わった仕事を始める。それは、遠くにいる人たちにオンラインでクイズを出題して交流するというものだった。そして、ある日、未名子が暮らす家の庭に大きな動物が迷い込んでく…
昔話をベースに殺人事件が起きて、その謎を解き明かしていく短編5話。一寸法師、花さかじいさん、鶴の恩返し、浦島太郎、桃太郎と、どれもみんなが知っている話だが、子供心にいい話だなと思っていたものが、こんなことになってしまうの…
ノーベル文学賞作家・川端康成氏の作品は、過去に「眠れる美女」しか読んだことがなかった。今回、二十代の頃に書いた名作「伊豆の踊子」を読み、著者の若々しい感性に触れた。二十歳の青年が一人旅の途中で旅芸人の一団と出会い、その中…
狂おしいような恋愛ではない。しかし、こんな恋もいいじゃないと思えるようなシチュエーションの恋愛短編集。齢をとってみれば他愛のないような恋愛が、三浦しをんのペンを通すとこんなにも美しく七色に輝いて見えるのが不思議だ。 個人…
作家の女性とその相手の男性の距離感を描いた作品。見開きびっしりと引き詰められた文字で表現される感情と、そこへ至るまでのまろやかな日常。そして、突然訪れる雷雨のような瞬間。語られているのは主人公の物語なのか、はたまた有川先…
第二次世界大戦下のフランス、ドイツ人の少年とフランス人の盲目の少女の人生が一瞬だけ交差する瞬間を描いた作品。厳しい環境でも小さな幸せを見出そうとする二人が瑞々しく描かれている。文体が少々読みづらいが、ストーリーは申し分な…
泣ける小説ということでご紹介いただいた一冊。あっというまに老いを迎える難病を発症した彼女と、カメラマンを目指している主人公の物語。主人公の鈍感さにバカヤローと思いながらも、わかっているけど泣けるパターンで(涙)、あっとい…
男が岩手でただひとり心を許した相手は、いま何どこにいて、何を思っているのだろうか。釣りをしながらする何気ない会話から、小さな喜びと大きな孤独感を感じる。震災が発生し、相手の実家を訪ねるシーンは、人生のやるせなさを感じずに…
芥川賞受賞作の「爪と目」ほか2作を収録した短編集。表題作は、子供の視点から描いた父親の愛人の話で、アンバランスな関係性を淡々と描いている。個人的には「ちびっこ広場」で描かれる母子の結末が、想像を掻き立てるようで面白かった…