アンダードッグス(長浦 京)

農林水産省を追われて証券関連の仕事をしていた古葉慶太は、1996年12月のある日、香港在住のイタリア人富豪から、断ることのできない依頼を受ける。古葉は、そのミッションを遂行するため香港へと渡るが、やがてそれが世界を巻き込むほどの内容だということが明らかになる。

一方、2018年の世界では、古葉慶太の義理の娘である瑛美が、ある成り行きで香港へ向かうことになる。詳しい事情もわからないまま香港へ向かった瑛美は、やがて義父の真実を知ることになる。

特筆すべきは物語のスピード感である。ページを捲るたびに振り落とされそうになりながらも、主人公たちの行動にしがみついていくのだが、休むことなく困難が襲い掛かってくる。次々と失われていく命の狭間で、最後に生き残るのは誰なのかを知りたくて一気に読み切った。

映画を見ているかのような描写も素晴らしく、ラストシーンもとても印象に残った。

個人的おすすめ度 3.5