ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと(マイケル・クローリー)

すごい本に出会ってしまった。目から鱗とはまさにこのことだ。

マラソン王国であるエチオピアで、自らもフルマラソンを2時間20分で走る著者が、ランナーたちと共に暮らしながら、彼らがどのように日々を生きているのか、どのような意識で走っているのか、なぜ素晴らしい選手が育つのか、といった疑問を紐解いていく。私自身の固定概念は根底から覆され、腑に落ち散ることがたくさんあった。

例えば、一人で走るのではなく仲間と走ることの意味、速く走れるようになるのは天性の才能ではないという考え方、結果が出なかった時の考え方などは、ランニングということだけでなくすべての生き方に繋がるものだと感じた。また、具体的なトレーニング内容についても興味深く、読んでいるだけで自分も走りたいなと思ってしまうような高揚感を感じた(レベルは全く異なる次元だが)。

一方、ローマ五輪で金メダルをとったアベベ氏のことについても、表面的にしか知らなかったことを思い知った。アベベ氏がなぜ尊敬されるのかということは深く心に刻まれた。

走るレベルは様々だが、ランナーの方にはぜひ読んでもらいたい一冊である。また、走らない人にとっても人生の一助となる一冊に違いない。

個人的おすすめ度 5.0