熱源(川越 宗一)

舞台は明治から昭和にかけての樺太(サハリン)。
そこで出会い、そこで生きる人々の声が聞こえてくる。
アイヌ人、ポーランド人、日本人、ロシア人、あるいはオロッコなど、それぞれが尊重しあって生きていた場所は、本当の意味での「無知」故に多くの悲しみをもたらしてしまったのだろう。

サハリンに流刑となったブロニスワフの言葉が印象に残る。
「そこには支配されるべき民などいませんでした。ただ人が、そこにいました。」

ただそこで生きるということ、それだけを望むことは罪なのだろうか。

これほど重厚な作品にはなかなか出会えない。
本当に多くの人に読んでもらいたい作品だ。

個人的おすすめ度 5.0