カテゴリー: 直木三十五賞受賞作

宝島(真藤 順丈)

この物語を読んでなお沖縄に無関心でいられる人がいるのだろうか。「戦争をしないことにした日本の平和がアメリカの傘下に入ることで成立しているなら、その重要基地のほぼすべてを引き受ける地方が国政をつかさどるべきだとは思わないか…

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ビタミンF(重松 清)

40代を目前にしたアラフォーの男たちとその家族を描いた短編集は、この世代を過ごした男性への心の栄養となることはもちろんだが、多くの読者に穏やかな感動を与えてくれる物語だろう。色々あるが、頑張っていこういう気持ちになれる一…

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王妃の離婚(佐藤 賢一)

フランス国王ルイ12世と王妃ジャンヌの離婚訴訟を巡る法廷サスペンスだが、文句なく面白い一冊だった。主人公は弁護士のフランソワで、訴訟を巡る背景と、主人公の人生がクロスして描かれ、どんどん引き込まれた。著者の他作品も読みた…

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柔らかな頬(桐野 夏生)

彼女の人生は、行方不明になった娘を探すためのものなのか、あるいは別の何かのためなのか。ある事件に関連して人生が崩れていく人々を描いた直木賞受賞作。安易な救いがないからこそ考えさせられる物語だった。辛いけれど目を背けられな…

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プラナリア(山本 文緒)

今どきの生き方と言っていいのか、とにかくモヤモヤした感覚が頭や胸にたくさんつっかえるような人々の短編集。無職の女性にとって、社会の居場所はどこなのだろうか。これが現代を生きる人間のリアルなのかなとも思うが、最後の作品が「…

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虹の谷の五月(船戸 与一)

フィリピンの複雑な歴史的背景、理不尽が蔓延る社会、その中で子供から大人へと成長していく主人公。人の命があっけなく奪われていく社会で、真人間として生きていくことの難しさを感じた。知人のフィリピン人が、平和が一番と言っていた…

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GO(金城 一紀)

在日であることを越えて、広い世界へと踏み出そうとする主人公の葛藤と成長を描いた物語で、2000年に直木賞を受賞した作品。やるせない気持ち、異性へのときめきや怖れ、友情あるいは喪失感、感情の爆発など、主人公の感情の起伏が丁…

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あかね空(山本 一力)

京都から身一つで江戸に来た豆腐職人の永吉、そして妻と子たちを描いた家族の物語。江戸との食文化の違いで苦労を重ねるが、やがて豆腐が売れるようになっていくと、家族の間に新たな問題が出てくる。いくつもの障壁を乗り越えることで、…

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