カテゴリー: 直木三十五賞受賞作

柔らかな頬(桐野 夏生)

彼女の人生は、行方不明になった娘を探すためのものなのか、あるいは別の何かのためなのか。ある事件に関連して人生が崩れていく人々を描いた直木賞受賞作。安易な救いがないからこそ考えさせられる物語だった。辛いけれど目を背けられな…

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プラナリア(山本 文緒)

今どきの生き方と言っていいのか、とにかくモヤモヤした感覚が頭や胸にたくさんつっかえるような人々の短編集。無職の女性にとって、社会の居場所はどこなのだろうか。これが現代を生きる人間のリアルなのかなとも思うが、最後の作品が「…

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虹の谷の五月(船戸 与一)

フィリピンの複雑な歴史的背景、理不尽が蔓延る社会、その中で子供から大人へと成長していく主人公。人の命があっけなく奪われていく社会で、真人間として生きていくことの難しさを感じた。知人のフィリピン人が、平和が一番と言っていた…

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GO(金城 一紀)

在日であることを越えて、広い世界へと踏み出そうとする主人公の葛藤と成長を描いた物語で、2000年に直木賞を受賞した作品。やるせない気持ち、異性へのときめきや怖れ、友情あるいは喪失感、感情の爆発など、主人公の感情の起伏が丁…

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あかね空(山本 一力)

京都から身一つで江戸に来た豆腐職人の永吉、そして妻と子たちを描いた家族の物語。江戸との食文化の違いで苦労を重ねるが、やがて豆腐が売れるようになっていくと、家族の間に新たな問題が出てくる。いくつもの障壁を乗り越えることで、…

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銀河鉄道の父(門井 慶喜)

父・ 政次郎の視点から宮沢賢治の人生を描くことで、等身大の賢治が描かれていると感じる作品だった。賢治の生き方に周囲も大変な思いがあったと推測されるが、そのことを決して否定的に捉えず、むしろその生き方を理解して応援する家族…

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サラバ!(西 加奈子)

イランで生まれた日本人の主人公が成長していく物語。両親、姉、近所のおばちゃんなど、個性あふれる人々が登場し、まったく先が見えない展開に引き込まれていった。奇想天外な物語の一方で、主人公は、人と人の距離感という、人生を生き…

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恋歌(朝井 まかて)

これほど泣いた作品があっただろうか。維新の時期における水戸藩で生きる中島歌子の人生は、紆余曲折と一言で片づけられるようなものではなかった。悲しみ、悔しさ、そしてある瞬間の幸せなどがひしひしと伝わっくる。途中も、そしてラス…

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蜜蜂と遠雷(恩田 陸)

これは本当に小説なのだろうか?紙面から音が聞こえる気がするのはなぜだろうか。音楽を文字でここまで表現できるのかという感動があった。ピアノに人生をかけたピアニストたちの思いが交錯し、それぞれの生き方が旋律となって表現されて…

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