会計監査員の調査員が大阪を相手に奮闘するのが表向きの物語だが、この作品には大阪愛が溢れていて、大阪で行きたい場所がたくさん増えた。なにより大阪城へ行ってみようという気持ちになる。登場人物の個性も豊かで奇想天外なエンタメ作…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
会計監査員の調査員が大阪を相手に奮闘するのが表向きの物語だが、この作品には大阪愛が溢れていて、大阪で行きたい場所がたくさん増えた。なにより大阪城へ行ってみようという気持ちになる。登場人物の個性も豊かで奇想天外なエンタメ作…
確かに後味はよくない。しかし、読むことを止められない。銃を拾ってしまった男が、それを持つだけで自分の意識が変わったと思えたり、しかしそれを使いたい衝動と葛藤したりする様は、ある部分は狂気に見えるが、一方で私自身の中にもあ…
この小説を読み始めたとき、偶然にもキャラメルボックスの活動休止が発表された。同劇団のクロノスの原作となる本作品は、時間を越えて移動できる装置を巡る話だが、実は本当に大切な人のために何ができますか?と問う素敵な物語だった。…
満州事変から敗戦までの間、主に中国を舞台に繰り広げられる細菌兵器の開発とそれに拘る人々の戦いを描いた作品。登場人物たちの苦悩が、キリキリする胃の痛みのように読み手に伝わってきて、辛いけれど心に残る物語となっている。ズシリ…
前作「孤狼の血」に魅せられて、再び昭和の雰囲気あふれる任侠の世界を読むことになった。極道かどうか以前に、まずは人として筋を通すことが仁義であろうと思うが、現実はなかなかそうは生きられない。正義と仁義の違いを考えさせられた…
双子の兄弟の数奇な運命を描いた、著者らしい先の読めない展開の作品。なるほど、最後はそうなってしまったかと感じた結末。確かに世の中は理不尽なことがたくさんあって、思い通りにならないことばかりだ。しかし、一筋の光明を頼りに生…
新聞社内の人事争いと社内改革を描いた物語で、同期の6人がそれぞれの立ち位置から真剣に戦う様子から、燃え上がってくる静かな情熱を感じる作品だった。新聞社に限らず大きな組織の中で戦うというのはこういうことかと思いつつ、ラスト…
フィリピンの複雑な歴史的背景、理不尽が蔓延る社会、その中で子供から大人へと成長していく主人公。人の命があっけなく奪われていく社会で、真人間として生きていくことの難しさを感じた。知人のフィリピン人が、平和が一番と言っていた…
日常に潜む危険をつづったミステリー・ホラー小説だった。個人情報が日々垂れ流されている昨今、こういう危険はたくさんあるんだろうなと、読みながらネット社会が抱える怖さを感じた。現代の問題を自分のこととしてリアルに感じる一冊。…
人間の感情ほど怖いものはない。他人の感情に振り回されることほど迷惑なこともない。しかし、人間だからこそ人を求めてしまうことがあり、それが錯覚した共感であっても依存してしまうことがある。そのことを、ナイルパーチという巨大魚…