眠りから覚めることがなくなる原因不明の病にかかった患者たち。主人公はその患者たちを救うために、夢幻の世界へと飛び込んでいく。ファンタジーでもあり、医療ミステリーでもある本作は、人の心の闇にスポットをあてた著者らしい作品だ…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
眠りから覚めることがなくなる原因不明の病にかかった患者たち。主人公はその患者たちを救うために、夢幻の世界へと飛び込んでいく。ファンタジーでもあり、医療ミステリーでもある本作は、人の心の闇にスポットをあてた著者らしい作品だ…
作家と霊媒師のコンビが事件を解決していくだけの物語かと思っていたら、それだけじゃなかった。ライトな感じのエンタメミステリーだなと油断したら大間違い。見事にやられたな、という感じでスカッとした。展開の巧みさに脱帽。読み終え…
水墨画の奥深さを堪能できる作品で、 水墨画を描いている瞬間の描写、あるいは絵そのものの描写が素晴らしかった。心を閉じていた青年が、水墨画を学んでいく中で成長していく物語だが、彼の動きと水墨画の描写が見事にシンクロしていて…
人が亡くなっていくのに、温かい気持ちになれる物語だった。余命宣告を受けた主人公は、人生最後の場所として瀬戸内海の島にあるホスピスへ入居する。そこには、人生を変えるようなおやつの時間があった。「生まれることと亡くなることは…
世間から見たら事件の加害者と被害者──しかし二人だけが知っている事実。ただ普通に生きることが許されないのは、彼らの責任なのだろうか。誰もが悪気なく他人を傷つけているのだろう。そして、傷ついている彼らに気づかないまま、通り…
SF作品に贈られるヒューゴー賞をはじめ、数々の賞を受賞している表題作は、母が紙で作ってくれた動物たちと僕の物語。やさしく切ない気持ちになる一作。この作品を含め15の短編は、様々な視点から、技術が人間にもたらすものを想像さ…
舞台は明治から昭和にかけての樺太(サハリン)。そこで出会い、そこで生きる人々の声が聞こえてくる。アイヌ人、ポーランド人、日本人、ロシア人、あるいはオロッコなど、それぞれが尊重しあって生きていた場所は、本当の意味での「無知…
ミステリー要素あり、コメディあり、歴史、青春スポ根、そして文学と、様々な要素が奇想天外な物語の中に凝縮されている、まさに万城目ワールドといえる作品。「あおによし」は奈良を表す枕詞で、奈良の女子高に教師として赴任した主人公…
亡き友が住んでいた家に、家守として暮らすことになった主人公。百年前の日本を舞台に、百日紅に惚れられたり、鬼や河童が現れたり、狸に化かされたりしながら過ぎていく日々。あるがままを受け入れ、すべての物事に感謝することの大切さ…
ネパールで2001年のに起きたナラヤンヒティ王宮事件を背景にしたサスペンス。フリーの記者である主人公が偶然現地にいたことで取材を始めるが、新たな事件が発生する。本作は、ジャーナリズムのあり方、そして読み手である我々の姿勢…