カテゴリー: 直木三十五賞候補作

鹿男あをによし(万城目 学)

ミステリー要素あり、コメディあり、歴史、青春スポ根、そして文学と、様々な要素が奇想天外な物語の中に凝縮されている、まさに万城目ワールドといえる作品。「あおによし」は奈良を表す枕詞で、奈良の女子高に教師として赴任した主人公…

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落日(湊 かなえ)

脚本家と映画監督が、故郷の一家殺人事件を調べていく中で、自分自身の過去とも向き合っていく物語。誰もが割り切れない過去を背負いって生きている。笑顔の裏にも、涙の影にも、人には見せたくない思いが隠されている。そのことに気づく…

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背中の蜘蛛(誉田 哲也)

聖人ばかりであれば犯罪は起きないのかといえば否だろう。技術革新によって操作のあり方は人間の心を超えていく。しかし、警察官もまた人間だという当たり前のことに気づかされる。ラストシーンにある上山の葛藤。警察としてどうあるべき…

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トリニティ(窪 美澄)

出版という仕事で偶然に出会った三人の女性。それぞれが夢を抱き、社会に評価される人生を歩みながらも、実際には様々な葛藤を抱えて生きている。もどかしく、心が何度も痛くて、だけど最高に嬉しい瞬間がある。懸命に生きることの美しさ…

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落花(澤田 瞳子)

仁和寺の僧・寛朝が坂東の地で平将門と出会って受けた衝撃。人間の美しさと愚かしさが、楽音となって奏でられていく。生身の人間同士が血を流しあいながら本気で生きているその魂に様に圧倒される。読んでいるだけで全身に痛みを感じるよ…

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平場の月(朝倉 かすみ)

中年になり、一人になって感じる心の隙間。相手に惹かれるのは、純粋な恋愛感情なのか、あるいは隙間を埋めるための代用なのか。二人で未来を生きたいと願う男と、今を生きようとする女の小さなすれ違いが切ないが、日々を懸命に生きる喜…

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