医者は神か。医者に救いを求める患者や家族はその信者か。医療ロボット「ミカエル」を操る心臓外科医・西條は、日本におけるロボット支援下手術の第一人者として実績を積み重ねてきた。そして、所属する病院内でもその地位を確かなものに…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
医者は神か。医者に救いを求める患者や家族はその信者か。医療ロボット「ミカエル」を操る心臓外科医・西條は、日本におけるロボット支援下手術の第一人者として実績を積み重ねてきた。そして、所属する病院内でもその地位を確かなものに…
市役所の社会福祉課に配属された主人公・牧野聡美は、生活保護受給者に対してあまり良いイメージを持っていなかった。受給者を訪問することに抵抗を感じる聡美に、ベテランケースワーカーである山川の言葉に少し心を動かされるが、その山…
結婚詐欺の容疑で逮捕された女の周辺で、複数の男が不審死していた。フリーライターの今林由美は、報道されている事件に違和感を感じ、容疑者の本当の姿に迫ろうとする。そこには、三十年前の北陸で、少女が置かれた過酷な環境があった。…
ウツボカズラというのは食虫植物である。甘美な臭いで虫を誘い込み、それを養分として生きている。持病を抱えながら日常に追われる主婦・高村文絵は、まさに恰好の餌食だったのか。 偶然再会した中学生時代の同級生・加奈子は、怪しさを…
検事・佐方シリーズほど安心して読める法定ミステリーはない。平成版水戸黄門というか、正義の味方ウルトラマンというか、とにかく表現は古いけれど、それくらい安定的に面白い。 シリーズ全作を通じて、とにかくテーマは人である。この…
検事・佐方シリーズは本当に心に響く。連作短編のそれぞれに正義の物語があり、人が最後に人として踏みとどまる瞬間を感じて涙が零れた。佐方が対するのは、被疑者Aではなく、名前のある一人の人間である。森を見るのではなく樹を見ると…
障害者施設で手首をカットして病院に運ばれた少女は、本当に自殺だったのか。同じ施設に入所している青年は、少女の死を自殺ではないと訴える。臨床心理士の主人公が、青年の担当となってこの事件を調べていくと、障害者をめぐる社会の問…
検事を辞めて弁護士になった貞方は、あるホテルで起きた殺人事件の被告の弁護を引き受ける。一見、ただの男女の諍いのような事件だが、突き詰めていくとまったく異なる景色が見えてくる。 貞方は、罪はまっとうに裁かれるべきだという。…
元弁護士の上水流涼子が、助手の貴山とともに、ありえない依頼を解決していくエンタメミステリー。柚月裕子さんの作品はバラエティに富んでいるが、すべてにおいて「人として正しくあること」が根底にある。この主人公からも、元弁護士で…
家庭裁判所調査官という仕事がどんな役割を果たしているのか、この作品を読んで少しだけ理解することが出来た。デジタル技術が進んでも、人の心を想像して寄り添えるのは生身の人間しかないと改めて思う。 主人公は研修期間中の調査官補…