人が生まれて、生きるということは、辛いことなのだろうか。それは誰にとって幸せなことなのだろうか。 一部は、主人公の夏子と、姉の巻子と姪の緑子の物語。家族だからこそ感じてしまうわだかまり、その空気感が行間から伝わってきて、…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
人が生まれて、生きるということは、辛いことなのだろうか。それは誰にとって幸せなことなのだろうか。 一部は、主人公の夏子と、姉の巻子と姪の緑子の物語。家族だからこそ感じてしまうわだかまり、その空気感が行間から伝わってきて、…
1957年に書かれた同書の完全新訳版だが、まったく色あせないどころか、むしろ現実味を帯びているとさえ感じる人類の最後が描かれている。第三次世界大戦で無数の核兵器が使用され、北半球は全滅、南半球にも放射能による汚染が広がっ…
4か月も太陽が昇らない極北の地を著者はなぜ冒険するのか。それは、この本を読めばわかるだろう。一言で言えばロマン。ただし、そこにあるのは命がけのロマンである。マイナス20度なんてまだまだ暖かいじゃないかと錯覚する臨場感あふ…
第二巻目では、ゲバラが、ボリビア、ペルー、パナマ、コスタリカ、ニカラグア、そしてグアテマラと、運命に導かれるように歩んでいく。ゲバラの行動は創作部分が多いが、そこで語られる中南米の歴史の凝縮が凄まじい。世界を感じる必読の…
チェ・ゲバラを描いたシリーズの第一部は、医学生のゲバラが親友とともに南米を旅する物語。正義感溢れる一方、若気の至りも多々あり、いろいろな出会いや学びがゲバラを育てていく。エビータとの関係は著者の創作であるが、実際にそんな…
吉原には人間の清濁を併せ呑むドラマが凝縮されていると思う。その吉原の黎明期にも、当然のように心震えるドラマがあった。涙なくして読めなかった中盤、そして最後の言葉に鳥肌が立つほど感動した。主人公と自分(読者)が重なるかのよ…
人を愛するということは罪なことだろうか。愛するからこそ別れ、別れるからこそ愛し続けられるということがあるだろうか。過去は変えられるという意味が深く、感動のラストへ繋がる展開も素晴らしい。著者の美しい文体と併せて読んでよか…
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ。ドレスデンの音楽大学に留学した日本人が直面する東側の雰囲気。互いに監視しあう社会、密告する側とされる側、その中で誰を信頼し、何を信じて生きていくのか。辛いけれど、逞しく生きていく人の心がと…
陶芸家バーナード・リーチの半生を描いた作品。白樺派との交流などを通じて日英の架け橋となった同氏を、架空の人物・亀乃介の視点から語っている。陶芸をはじめ芸術などについて熱く語る登場人物たちが魅力的で、自分もその場にいるかの…
戦争で大国に蹂躙されるポーランド人の悲しみを、世界は忘れてはいけない。その悲劇はナチスだけのせいではなかった。人は誰かのために命を投げ出すこともできれば、狂ったように人間性を捨てることもできる。ショパンの革命のエチュード…