夏物語(川上 未映子)

人が生まれて、生きるということは、辛いことなのだろうか。
それは誰にとって幸せなことなのだろうか。

一部は、主人公の夏子と、姉の巻子と姪の緑子の物語。
家族だからこそ感じてしまうわだかまり、その空気感が行間から伝わってきて、涙が止まらなくなった。

二部は、夏子が人工授精について考えていくのだが、夏子だけでなく誰もが悩みを抱え、鉛のような重たい痛みが見え隠れする。
それは安易に「わかる」と言えるものではなく、それゆえに登場人物たちの一言一言が本当に心に刺さった。

読みながらも、そして読み終えてからも、誰かと話がしたくなる物語である。

個人的おすすめ度 4.5