カテゴリー: ミステリー

シューマンの指(奥泉 光)

シューマンの文学的音楽、そしてその生き方が、現代を生きる若者を導く。その先にあるものは光なのか闇なのか。 里橋優の元に、鹿内堅一郎から驚くべき手紙が届いた。かつて天才と呼ばれたピアニスト・永嶺修人が、失ったはずの指を克服…

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老警(古野 まほろ)

警察をはじめとする公務員組織の理不尽さ、引き籠りとその家族に対する社会のあり様、それらへの問題提起も含めた社会派ミステリーである。しかし、この結末に胃が痛くなった私は、ひ弱な人間なのだろうか。 引き籠りの子供のために出世…

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希望の糸(東野 圭吾)

人との出会いと繋がりが人の生きる希望となる。それは家族の糸かもしれないが、そもそも何をもって家族と言うのだろう。本作品は加賀恭一郎の従弟で、刑事でもある松宮脩平が、カフェオーナーの殺人事件を追いながら、自分自身の過去の糸…

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暗鬼夜行(月村 了衛)

学校代表に選ばれた読書感想文は盗作だというSNSの投稿が事件の発端となる。感想文の指導にあたった教師・汐野は、この問題を解決すべく、積極的とは言えないまでも結果として多くの時間を割くことになる。しかし、この事件は中学校内…

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ハサミ男(殊能 将之)

ミステリー小説を読む醍醐味は、読者として見事に騙されるところにあると思っていたりする。あれこれ考えを巡らせ、予想をしてみて、見事にその裏をかかれたときの快感は何とも言えない。 この作品の主人公はハサミ男と呼ばれる殺人鬼自…

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蒲生邸事件(宮部 みゆき)

1996年に発表されて以来、長く読み続けられている著者の代表作のひとつ(代表作がたくさんあるが)。平成が始まって間もない頃、主人公は受験のために上京してホテルに宿泊していた。受験が終わった直後、ホテルで大火災が発生し、そ…

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素敵な日本人(東野 圭吾)

バラエティに富んだ九本の短編はどれも外れなし。そつのない面白さは流石としか言いようがない。 皮肉な話もあれば、心温まるいい話もあるが、本書のタイトル「素敵な日本人」の通り、人間の不完全さが素敵なドラマを織りなしている。互…

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