性同一性障害者は「障害者」と言われる社会。男、女、それしか普通だと言えない狭量な社会のほうに障害があるのではないだろうか。 主人公の中に芽生えた感情。女性であるということとの中に、母になれるということ含まれるのではないか…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
性同一性障害者は「障害者」と言われる社会。男、女、それしか普通だと言えない狭量な社会のほうに障害があるのではないだろうか。 主人公の中に芽生えた感情。女性であるということとの中に、母になれるということ含まれるのではないか…
なんという美しさだろうか。8×8の升の上、あるいは下には、逃れようのない耽美な切なさが、無限の宇宙のように広がっていた。 リトル・アヒョーキンと呼ばれるチェスプレイヤーは、ただ強いだけで伝説となったわけではなかった。彼の…
人の数だけ幸せの形がある。六編の物語は、三十代後半からアラフィフの女性を描いたものだが、それぞれが社会的にも自立した女性であり、悩みながらも前を向いて生きていこうとする姿が美しい。 人間である以上、独りで生きていくことは…
台湾に日本の新幹線を導入する大きなプロジェクトが始動する。商社に勤務する多田春香は、そこに携わるために現地で活動を始めるのだが、彼女の台湾への思いは特別なものがあった。かつて、台湾へ行ったときに出会ったエリックという男性…
四つの短編は、それぞれが女性たちの物語。母や姉との相いれない生き方の違いを描いた1章、仕事としてAV女優をしながら、AV会社を経営する彼を支える2章、セックスレスとなった夫との関係に不満を感じながらAVに出演する3章、そ…
中国に密航して三十年後、日本に帰ってきた男は、失われた時間を取り戻すかのように日々を過ごす。かつての友、そして家族はどうしているのか、家はどうなったのか、そして日本はどのように変わり、世界はどのように変わったのか。 彼は…
想ー像ーラジオー。 番組の高らかなジングルが想像という電波に乗って聞こえてくる。 杉の木のてっぺんから放送を始めることにしたDJアークは、自分の家族の話をしながら、たくさんのリスナーの声を届け、そして素敵な音楽を流す。そ…
東京とシドニーを舞台にした十二の短編は、老若男女様々な主人公が幸せなひと時を感じさせてくれる。 カフェの青年、いつも手紙を書く常連の女性、そして二人をつなぐ温かいココアの香りが伝わってくる。偶然そこに座っていたお客さんの…
ルシア・ベルリンの小説は、いずれも著者の人生の一部を切り取って脚色した作品だという。本書に収録された二十四編の短編は、それぞれの楽しみもあるが、読むほどに著者や家族、出会った人々などがリアルに感じられるような気がする。ア…
映画の制作に携わりたかった良井良助が、ドラマや映画の制作現場で成長していく様子と、そこに携わる人々の情熱を描いた爽快なヒューマンコメディ作品。 夢をもって上京した良助は、挫折を味わって惰性のような日々を送っていた。そんな…