そのリボルバーから放たれた弾丸はゴッホの体を貫いた。その瞬間、彼は何を思っただろうか。そして、ゴッホとともに語られるゴーギャン、ゴッホの弟・テオは、彼の死に何を感じただろうか。ひとつのリボルバーをきっかけに、過去が生々し…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
そのリボルバーから放たれた弾丸はゴッホの体を貫いた。その瞬間、彼は何を思っただろうか。そして、ゴッホとともに語られるゴーギャン、ゴッホの弟・テオは、彼の死に何を感じただろうか。ひとつのリボルバーをきっかけに、過去が生々し…
美術館のある絵の前でクライマックスを迎える六編の物語。寂しい時、後悔した時、人生に行き詰まった時、絵は無言で語りかけてくる。そこで過去を顧みながら、新しい一歩を踏み出していく。 美術館に行って感動する作品に出会えることが…
人の数だけ幸せの形がある。六編の物語は、三十代後半からアラフィフの女性を描いたものだが、それぞれが社会的にも自立した女性であり、悩みながらも前を向いて生きていこうとする姿が美しい。 人間である以上、独りで生きていくことは…
十九世紀末、タブーに踏み込んだ劇作家オスカー・ワイルドと、その作品サロメのイラストで時代を席巻したオーブリー・ビアズリー。二人の関係が一線を越えて深まっていこうとする中、病気を抱えるオーブリーに献身的に尽くす姉メイベル・…
作家の想像力は凄まじい。 同時代を生きた三人──俵屋宗達、原マルティノ、そしてカラヴァッジョ。彼らが出会った記録はないが、出会わなかったという証拠もない。そして、想像は自由である。 天正遣欧使節としてローマを訪れた人物の…
2013年、デトロイト市の財政破綻によって、デトロイト美術館のコレクションが売却されるかもしれないという事態が訪れる。人々の生活とアートを共に守るにはどうしたらいいのか。この物語は、その史実をもとに描かれた奇跡の物語であ…
様々な立場の女性を描いた短編集だが、淡々として見える日常の中で、本当は誰もが葛藤しているのだということを静かに描いているのが素晴らしい。物語を読むたびに、号泣ではなく静かに涙が溢れてしまう。読了したとき、心にやさしい温も…
陶芸家バーナード・リーチの半生を描いた作品。白樺派との交流などを通じて日英の架け橋となった同氏を、架空の人物・亀乃介の視点から語っている。陶芸をはじめ芸術などについて熱く語る登場人物たちが魅力的で、自分もその場にいるかの…
そこにあるのが当然だと思っていた国立西洋美術館。しかし、そこに至るまでの松方幸次郎をはじめとする人々を想像すると、タブロー(絵画)から新しい物語が見えてくる。「飛行機じゃなくタブローを。戦争じゃなくて、平和を。」の言葉に…
アート+恋愛のどたばた喜劇だが、表現のひとつひとつに滲む昭和がツボに入って、車中で読んでいても笑ってしまう面白さだった。後書きを読むと、この作品がリアルな展示会を企画する趣旨で書かれたことがわかり、その発想と行動力に驚い…