これほど精巧に組み立てられたミステリーにはなかなか出会えない。様々な伏線がしっかり回収されていく王道の構成であり、かつ、二重構造の物語となっていて、一つの作品で二度楽しめるという構造になっている。 名探偵アティカス・ピュ…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
これほど精巧に組み立てられたミステリーにはなかなか出会えない。様々な伏線がしっかり回収されていく王道の構成であり、かつ、二重構造の物語となっていて、一つの作品で二度楽しめるという構造になっている。 名探偵アティカス・ピュ…
十九世紀末、タブーに踏み込んだ劇作家オスカー・ワイルドと、その作品サロメのイラストで時代を席巻したオーブリー・ビアズリー。二人の関係が一線を越えて深まっていこうとする中、病気を抱えるオーブリーに献身的に尽くす姉メイベル・…
一億円と共に消えた親友。その行方と謎を追うことになった主人公・村野ミロは、物語が進むほど魅力的になっていく。親友の彼氏だという男や、見るからにヤクザの男、親友のアシスタントの女性など、全編にわたって登場する人物の個性が際…
1947年、主人公の女性シャーリーは、第二次世界大戦で行方不明になった従姉を探すためにある人物を訪ねる。それは、第一次世界大戦中にスパイとして活躍した女性イヴだった。物語は、第一次世界大戦当時のイヴの視点と、1947年の…
江戸中期の人気画家・伊藤若冲の人生を描いた物語。若冲はなぜあのような奇抜な絵を描いたのか。懊悩の極みにあって、絵を描くことだけが生きる術だったのではないか。楽に生きていくことなどできず、死ぬこともできない自分。 前半から…
舞台は明治から昭和にかけての樺太(サハリン)。そこで出会い、そこで生きる人々の声が聞こえてくる。アイヌ人、ポーランド人、日本人、ロシア人、あるいはオロッコなど、それぞれが尊重しあって生きていた場所は、本当の意味での「無知…
十三世紀、ローマ法王と対立した神聖ローマ皇帝・フリードリッヒ二世の生涯を描いた歴史巨編。 いつの時代も新しい改革には反発があるが、反対派の最先鋒がローマ法王であった。フリードリッヒ二世の改革、あるいは施策は、現代の視点か…
心が痛くて、痛くてたまらない。人間の心が怖くて、孤独で、けれども一人では生きていけないから誰かを信じたくて──。少年犯罪の問題、犯罪被害者の問題、法制度の狭間であがき苦しんでいるのは誰なのか。物語は、妻を殺された主人公が…
聖人ばかりであれば犯罪は起きないのかといえば否だろう。技術革新によって操作のあり方は人間の心を超えていく。しかし、警察官もまた人間だという当たり前のことに気づかされる。ラストシーンにある上山の葛藤。警察としてどうあるべき…
幕末から明治にかけて活躍した長崎の女商人・大浦慶の人生を描いた傑作。日本人として、経営者として、そして一人の人間として、その生き方で人を感動させられる人物に違いない。決して媚びない生き方がかっこよすぎる! 勇気と活力をも…