いわれなき罪を負い、朝敵とされてなお義を貫いた会津藩。今の時代から見ればその正義が理解できるが、そうでなかった時代を生きた松平容保をはじめとする会津の人々の苦しみはどれほどだったか。白虎隊の少年たちを弔う碑に刻まれた松平…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
いわれなき罪を負い、朝敵とされてなお義を貫いた会津藩。今の時代から見ればその正義が理解できるが、そうでなかった時代を生きた松平容保をはじめとする会津の人々の苦しみはどれほどだったか。白虎隊の少年たちを弔う碑に刻まれた松平…
十三世紀、ローマ法王と対立した神聖ローマ皇帝・フリードリッヒ二世の生涯を描いた歴史巨編。 いつの時代も新しい改革には反発があるが、反対派の最先鋒がローマ法王であった。フリードリッヒ二世の改革、あるいは施策は、現代の視点か…
幕末から明治にかけて活躍した長崎の女商人・大浦慶の人生を描いた傑作。日本人として、経営者として、そして一人の人間として、その生き方で人を感動させられる人物に違いない。決して媚びない生き方がかっこよすぎる! 勇気と活力をも…
幕末を舞台に、不老不死伝説が伝えられる人魚の肉を食べた岡田以蔵、坂本龍馬らがたどる運命。新撰組メンバーも巻き込み、史実に沿いながらも驚愕の物語が展開する。不老不死など非現実的だと言いながらも、それを完全に否定しきれない人…
開国前、幕末、そして明治という時代を背景に、勝海舟の下の妹・お順を描いた作品。お順の視点から若かりし頃の勝海舟、あるいは佐久間象山など、維新の時代に歴史を動かした人々の活動や志が見えてくる。特に、一歩引いた眼で見ると、勝…
吉原には人間の清濁を併せ呑むドラマが凝縮されていると思う。その吉原の黎明期にも、当然のように心震えるドラマがあった。涙なくして読めなかった中盤、そして最後の言葉に鳥肌が立つほど感動した。主人公と自分(読者)が重なるかのよ…
戦国時代、主人公・半右衛門と小太郎の出会いが互いの人生を大きく変えていく様を描いた物語。敵将・喜兵衛も含め、命がけで生きている人々が今目の前で実在しているかのような臨場感。「必死」という言葉はまさにこのラストのためにある…
明治から昭和にかけて上野に作られた帝国図書館。戦前、日本唯一の図書館だったその歴史は、激動の日本を象徴する存在だった。当時を生きた喜和子さんの人生や周囲の人々の暮らしが、ある謎とともに描かれている。なじみ深い谷中付近の描…
近松門左衛門は知っていたが、浄瑠璃作家・近松半二のことは初めて知った。浄瑠璃をを作る人、演じる人の熱い思いが伝わる物語で、大ヒット作が生まれる必然の雰囲気がとても面白く、さらに浄瑠璃と歌舞伎の比較も興味深い。直木賞受賞は…
仁和寺の僧・寛朝が坂東の地で平将門と出会って受けた衝撃。人間の美しさと愚かしさが、楽音となって奏でられていく。生身の人間同士が血を流しあいながら本気で生きているその魂に様に圧倒される。読んでいるだけで全身に痛みを感じるよ…