羽柴秀吉が柴田勝家を破った賤ケ岳の戦いにおいて、武功を挙げた秀吉の近習7人は、賤ケ岳の七本槍と称賛された。彼らはいずれも秀吉によって見出された者たちで、その発展に大きく貢献した者たちであった。しかし、賤ケ岳でも同じく戦い…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
羽柴秀吉が柴田勝家を破った賤ケ岳の戦いにおいて、武功を挙げた秀吉の近習7人は、賤ケ岳の七本槍と称賛された。彼らはいずれも秀吉によって見出された者たちで、その発展に大きく貢献した者たちであった。しかし、賤ケ岳でも同じく戦い…
能楽の曲目をベースにした八つの物語。安易なハッピーエンドではなく、逃れられない人間の業が溢れていて、能面の下にある人間の本性に怖さを感じた。 山の中で山姥の舞を見せる遊女の心中を描いた話や、裏切られてもまた信じたい女の話…
松永久秀というと常に裏切り者というレッテルを貼られ、悪人の代表のようなイメージで描かれることが多い。極悪人とされる人間の心の内を想像しようとする人は少ない。本作品は、松永久秀という人の生き様をから、人間社会が向かうべき未…
江戸中期の武家を描いた、表題作を含む三篇。 「機織る武家」は、貧しくなっていく家で、家族を支えるために機を織る妻を描く。家には、うだつの上がらない夫と、武家としての生き方に拘わる姑がいて、自分の居場所はとても小さい。一度…
激動の幕末、会津士族の女と薩摩士族の男は、それぞれ異なる場所で生きながらも、どこかで互いを意識し続けていた。もし二人が異なる時代に生まれていたら、そこには違った幸せがあったのかもしれない。あるいは、この時代ではなかったら…
読了後の切ない余韻が心地よい。大正の名女優・伊澤蘭奢(いざわらんじゃ)と、彼女に深くかかわった編集者・内藤民治(ないとうたみじ)、弁士・徳川夢声(とくがわむせい)、児童文学作家・福田清人(ふくだきよと)、そして息子で作家…
6人の女性作家が描くもののけの世界。人情話もあればホラーもあり、ユーモアを感じることもあれば怖い世界を見ることもあり、もののけの世界でありながら人間の喜怒哀楽が見事に凝縮された短編ばかりである。こうした物語が作られるのは…
斎藤道三とその父・法蓮房、さらに祖父の松波高丸、そして道三の子・豊太丸と四代にわたって引き継がれた“国滅ぼし”なる最終兵器とは。それぞれの世代ごとの物語が入れ替わり出てくる構成で、そのことが最終兵器の謎を解き進める大切な…
江戸中期の人気画家・伊藤若冲の人生を描いた物語。若冲はなぜあのような奇抜な絵を描いたのか。懊悩の極みにあって、絵を描くことだけが生きる術だったのではないか。楽に生きていくことなどできず、死ぬこともできない自分。 前半から…
舞台は明治から昭和にかけての樺太(サハリン)。そこで出会い、そこで生きる人々の声が聞こえてくる。アイヌ人、ポーランド人、日本人、ロシア人、あるいはオロッコなど、それぞれが尊重しあって生きていた場所は、本当の意味での「無知…