Warning: include_once(/home/thoreauservice/www/book/wp-content/plugins/wp-super-cache/wp-cache-phase1.php): failed to open stream: No such file or directory in /home/thoreauservice/www/book/wp-content/advanced-cache.php on line 22

Warning: include_once(): Failed opening '/home/thoreauservice/www/book/wp-content/plugins/wp-super-cache/wp-cache-phase1.php' for inclusion (include_path='.:/usr/local/php/7.4/lib/php') in /home/thoreauservice/www/book/wp-content/advanced-cache.php on line 22
パレートの誤算(柚月 裕子) – まったくの拓の読書備忘録

パレートの誤算(柚月 裕子)

市役所の社会福祉課に配属された主人公・牧野聡美は、生活保護受給者に対してあまり良いイメージを持っていなかった。受給者を訪問することに抵抗を感じる聡美に、ベテランケースワーカーである山川の言葉に少し心を動かされるが、その山川が殺害されてしまう。そして、事件の裏には、生活保護受給者を食い物にする貧困ビジネスが見え隠れしていた。

人には表の顔と裏の顔がある。善人にしか見えない人が悪事に手を染めたり、あるいは悪人だと思われている人の良心を垣間見たりする。受給者も人間であれば、それを食い物にする者たちも人間である。社会福祉課の職員も、事件を追う刑事も、当たり前だが人間である。そうした人間の在り方を「正義はどこにあるのか」という視点で見たとき、最後は正義が勝らなければ幸福な社会は訪れないのだろうと思う。

事件の全容が明らかになっても、失われた命は戻らない。そして、他人を食い物にする人間もまた後を絶たない。ただしそれをもってパレートの法則が当てはまるということではないだろう。すべて読み終えたとき、このタイトルの意味が心に響いた。

個人的おすすめ度 3.5