明治初期から大正、昭和と、激動の時代を生きた河井道という女性。その視線の先には、すべての人々が平等な社会と、それに基づく世界平和という大きな志があった。女性の社会的な役割を認め、教育機会を作り、地位を向上することは、今な…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
明治初期から大正、昭和と、激動の時代を生きた河井道という女性。その視線の先には、すべての人々が平等な社会と、それに基づく世界平和という大きな志があった。女性の社会的な役割を認め、教育機会を作り、地位を向上することは、今な…
生きづらさを感じる瞬間や、自分が生きている意味を見失うとき、たった一人でも寄り添ってくれる人がいたら、それだけで前を向いて生きて行ける気がする。表面だけではわからない優しさや、笑顔の底にある厳しい決意があったりする。そう…
収録されている短編7編は、決して後味の良い作品とは言えないが、人間の自分勝手な部分や、都合よく解釈してしまう理解力、あるいはそした人間社会の未来にある日常などを描いた作品群は、まさにこのタイトルのカミサマはそういないとい…
20年以上前に書かれた密室ミステリー。IT系の技術を中心にいくつかの仕掛けが施されていたり、科学的な分析などがみられる工学系ミステリーでもあるが、今読んでも旧さを感じることはほとんどなかった。 孤島の研究所で隔離生活を送…
文豪・谷崎潤一郎の三番目の妻、松子の妹である重子の視点から、谷崎家の人間模様を描いた物語。谷崎潤一郎という人物をここまで掘り下げているだけでなく、妻や姉妹、子どもたち、さらにはその伴侶などを、ここまで個性的に描いている作…
フェザーバンクという町では、かつて、子供が相次いで誘拐され、殺害された事件があった。犯人は逮捕されたものの、最後に誘拐された子供はは発見されないまま二十年が過ぎていた。そして、同じ町で再び子供が誘拐される事件が発生した。…
私が子供だった1970年代頃には、まだ上野駅で自衛隊員を募集する人を見かけた気がする。そんな時代に自衛官になった人々を描いた連作短編。国を守る存在でありながら、外を制服で歩くこともできず、名誉や誇りを持つことも難しい時代…
交通事故で病院に搬送された女性は、ある男によって少女たちとともに監禁されていた。ハナという少女によると、事故にあったのは彼女の母親レナだという。その名前から、レナは十年以上前に行方不明になっていた女性の可能性があり、その…
シリーズ第三弾の本格ミステリー。謎解きの面白さを味わいつつ、これは物語であり、エンターテインメントだと理解しながらも、物語に引きずり込まれるような面白さがあった。ファンタジー映画を見ているような感覚もあり、個人的にシリー…
警察組織の中で対立する刑事と公安。大きな事件に直面してもなお、その対立は収まることがなく、社会の秩序と安全を維持するという本来の目的よりも、自分たちの組織を守ることが優先してしまう。正義感溢れる人間も、その中に入ればやが…