BUTTER(柚木 麻子)

男たちを誘惑して次々と殺害した容疑者を、主人公の女性記者が取材していく中で、容疑者に取り込まれていく展開に、まるで自分が引き込まれていくような恐怖を感じた。
物語の中で、濃厚なバターの美味しさが描写されると、読んでいながら今すぐバターを食べたくて仕方がないという衝動に駆られる。
心をつかまれたのは主人公なのか、あるいは読者である自分自身なのか。
翻弄されることに心地よさすら感じる問題作だ。

個人的おすすめ度 5.0