きみはいい子(中脇 初枝)

親と子の問題を描いた5編の連作短編。
「寄せ集め」と評されるニュータウンでは、お互いに他人にはあまり深くは関わらない。
家の中では、暴力やネグレクトなどの虐待があっても、それを取り繕う親もいて、問題が表面化しづらい。
この本はそうした問題を直視しつつ、その先にある光を描いている。
社会に闇を作るのも人間ならば、光を作るのも人間だ。
人間関係が希薄になっている社会で、心に鍵をしたまま大人になっていくこともあるかもしれないが、この5編を読むと、人間を信じてみようという気持ちになる。
子どもにかかわる人はもちろん、そうでない人も一度は読んでみてほしい一冊である。

個人的おすすめ度 3.5