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羊の頭(アンドレアス・フェーア) – まったくの拓の読書備忘録

羊の頭(アンドレアス・フェーア)

ドイツで人気のミステリーシリーズの第二段。ヴァルナーとクロイトナーら刑事が、山の中で発生した殺人事件の犯人を追って活躍する。犯人と思わしき複数の人物は誰もが問題を抱えていて、それでも殺人まで犯すほどの動機はどこにあるのだろうかと考えながら刑事とともに推理をしてみる。一方、刑事たちも癖のある連中ばかりで、親との関係や異性との関係などを引きずりながら仕事をする姿がとても人間的である。

人を支配しようとするコントロールフリークの人間はどの国にも存在する。特に暴力で人を支配する人間はその典型で、加害者となることもあれば、恨みを買うことも多い。また、コントロールフリークの人間に支配されることによって、正常な思考ができなくなることもある。そうした心の動きは客観的に見ていてもとても痛々しいものであるが、きっと世界中にこうした問題が転がっているからこそ、誰が読んでも共感できる物語となっているのだろう。

スリリングでスピード感のある展開は、想定通りと思われたラストシーンを超えて着地した。自分が蒔いた種は自分で責任を負うというのが社会のルールかもしれないが、単純に自己責任として片づけてしまうには重すぎる問題が社会には無数に横たわっている。

個人的おすすめ度 3.5