文豪・谷崎潤一郎の三番目の妻、松子の妹である重子の視点から、谷崎家の人間模様を描いた物語。谷崎潤一郎という人物をここまで掘り下げているだけでなく、妻や姉妹、子どもたち、さらにはその伴侶などを、ここまで個性的に描いている作…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
文豪・谷崎潤一郎の三番目の妻、松子の妹である重子の視点から、谷崎家の人間模様を描いた物語。谷崎潤一郎という人物をここまで掘り下げているだけでなく、妻や姉妹、子どもたち、さらにはその伴侶などを、ここまで個性的に描いている作…
東日本大震災が露わにしたのは、この国に住む人が気づかないふりをしてきた沢山の綻びだったのだろうか。絆の大切さが語られる一方、人の不幸を踏み台にした幸せが存在していることが露わになったのではないか。この物語は、闇の市場で売…
連合赤軍による事件が起こったのは私が生まれる数年前のこと。出来事としては知っていたが、極左集団によるテロ事件という程度の認識しかなかった。この作品の主人公は、連合赤軍に参加した一人の女性。逮捕されて服役したのち、当時の仲…
主人公は五十九歳の主婦。恙無い夫婦生活を送ってきた。しかし、夫が突然死してまもなく、夫の携帯電話に女性からの電話がかかってくる。夫の隠し事が明らかになり、また、息子と娘は母親の心など慮ることもなく相続の話をする。仲良くし…
一億円と共に消えた親友。その行方と謎を追うことになった主人公・村野ミロは、物語が進むほど魅力的になっていく。親友の彼氏だという男や、見るからにヤクザの男、親友のアシスタントの女性など、全編にわたって登場する人物の個性が際…
海で行方不明になった前夫。再婚した主人公の元に、元義母からその目撃情報が伝えられる。その影を調べていくうちに、自分が知らなった多くの事実に直面し、現在の生活の問題とあわせて苦悩する一人の女性を丁寧に描いた作品だった。人間…
彼女の人生は、行方不明になった娘を探すためのものなのか、あるいは別の何かのためなのか。ある事件に関連して人生が崩れていく人々を描いた直木賞受賞作。安易な救いがないからこそ考えさせられる物語だった。辛いけれど目を背けられな…