償いの雪が降る(アレン・エスケンス)

大学生のジョーは、身近な年長者の伝記を書くという課題のため、介護施設で末期がん患者のカールの話を聞くことにする。
カールは過去に少女暴行殺人の罪で有罪となり服役していた男で、人生の最後を施設で過ごしていた。

ジョーはカールの話を聞くうちに、過去の事件の真相に疑問を抱くようになる。
そして真実を求めてそのことを調べ始める。

ジョーは、ただカールの話を聞くのではなく、互いに誰にも言えなかった過去をさらけ出すことで「償い」をしていくように見える。
人間は、真面目に生きようとするからこそ、誰にも言えない重石を背負ってしまうものなのかもしれない。

この物語がとても素敵なのは、ジョーやカール、隣人のライナ、弟のジェレミーなど、魅力的な人物が登場することだ。
読めば読むほど、彼らのことが好きになってしまい、読み終えたときには彼らの素晴らしい未来をもっと応援したくなっていた。

事件の謎を追っていくヒューマンドラマであるだけでなく、サスペンスフルな展開にドキドキハラハラする場面もあり、最後の一文字まで楽しむことが出来る作品だった。

個人的おすすめ度 4.0