紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人(歌田 年)

紙鑑定士の主人公が、伝説のプロモデラーと共に事件を追うミステリー作品。最初は都合のいい展開だなと思いながら読み始めたが、読むにつれてどんどん面白さが増して、読み終えたときには心地よい納得感があった。

紙の知識、模型の知識も興味深く、そのことが事件の解決にもつながっていく展開は、改めてミステリー小説の楽しさを感じさせてくれる。二人が語る専門知識は、プロの仕事はこうでなくちゃいけないなと感じさせてくれ、そのキャラクターも魅力的だった。

また、本そのものの体裁も面白く、「紙」に拘っているのが粋である。電子媒体では実現できない紙媒体の楽しさを体感できるのもこの一冊の価値だろう。

流石、2020年 第18回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作は伊達じゃなかった。

個人的おすすめ度 3.5