痛みを伴う読書というのはこういうものかと思う。元夫の暴力から逃れ、自分を捨てた母と再開を果たした主人公。そこにあったのは、理想の出会いとはかけ離れた現実だった。共に暮らすようになった人たちは、誰もが深い痛みを抱えて生きている。それはまるで、針の山を歩きながら人生を歩んでいるかのようだ。ただ、彼女たちは互いの傷を舐めあうような生き方はしていない。衝突しながらも、そこで一緒に生きることを選択した。
読み進めていくと、星を掬うというタイトルの意味が、傷ついた心を癒していくことを感じる。何度も砕かれながらも、希望を失うことなく生きていくこと、人間らしく生きることの意味に気づく。「私の人生は私のもの」という言葉の意味は深い。自分の人生を、誰かのせいにせず、責任をもって歩んでいくことは、言葉でいうほど簡単ではないだろう。
町田そのこさんの本を読了すると、そのあとの時間はしばし自分の人生を考える時間になる。とてもありがたい時間である。
個人的おすすめ度 4.5