またしても見事に翻弄された。ホーソーンシリーズ第二段も、癖のある元刑事ホーソーンと、作家アンソニー・ホロヴィッツのコンビが殺人事件の謎を追う物語。たくさんある伏線らしき仕掛け、多くの疑わしい関係者たち、それらを総合して犯人を予測しながら読むのだが、著者の想定通りに見事に罠にはまっていく読者としての自分。しかしまったく悪い心地はせず、むしろ読み終えたときに、またしても騙されたなという爽快感に満たされた。
離婚専門弁護士の死、壁に描かれた謎の数字、殺人を予告するような脅迫、そして過去の事故、さらには関係者の死、ある意味では古典的とも思われるミステリーの仕掛けが何層にも重ねられている。また、謎を解いていく探偵コンビと、競うように謎を置う刑事という構図も、探偵小説の王道である。
事件の謎を追いつつ、もうひとつの謎がホーソーンという人物の謎である。これについては、巻末の解説によると、今後予定されているホーソーンシリーズ(10話の予定)を読んでいくとわかってくるのではないかとのこと。本当に何もかもが著者の思惑通りに進んでいるのだが、物語の中のホロヴィッツという人はというと……これはまた読んでのお楽しみ。
ミステリー好きはもちろん、読書を楽しみたいという方には特におすすめのシリーズである。
個人的おすすめ度 4.0