学生時代に友情をはぐくんだ男女四人は社会人になり、それぞれが壁にぶつかっていた。そんなときに、仲間のある事柄をきっかけに再会することになった彼らは、自分自身のことに精一杯になりながらも、互いを思いやり、そして互いを必要としていた。
大切なものを失ったとき、他の物事で代替することはできないし、忘れることが正解でもない。むしろ、その悲しみを背負って生きていくことが人間らしいとも思える。しかし、一人で背負いきれないときには、誰かの力を借りなければ前に進めないこともあるのだろう。彼らを見ていてそんなことを感じた。
若い時にこの作品を読んだら、素直に受け入れられなかったかもしれない。読み終えてみて、ようやく人の痛みが少しは想像できるようになったのかなと思う。切ないながらも希望が見えるラストシーンが印象に残った。
個人的おすすめ度 3.5