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左手に告げるなかれ(渡辺 容子) – まったくの拓の読書備忘録

左手に告げるなかれ(渡辺 容子)

万引き犯を補足する保安士の八木薔子の元へ、かつて不倫関係にあった男の妻が殺害された事件で刑事がやってくる。刑事は彼女に右手を見せてほしいという。薔子は、自身への容疑を晴らすために事件を調べ始めるが、それは大きな事件の一端に過ぎないことが明らかになっていく。

殺人事件の背景に見える、コンビニとスーパーの覇権争いは、まるで経済小説のようなスリリングな展開。一方、殺人のトリックを解いていく過程はミステリーの王道の楽しみがある。それを彩る面々は個性的だが、主人公を始め魅力的な女性がたくさん登場する一方、そばにいる男のダメさ加減は、コンビニとスーパーの関係性と似た部分もあるように感じた。

物語はやがて悲しい結末を迎える。最後まで読むと、このタイトルが恐ろしく絶妙であることを理解する。表面的な意味だけでなく、複数の意味を兼ね備えたこの「左手に告げるなかれ」というフレーズは、物語の余韻と共にしばらく頭の中に響き続けた。

人間は右手に強さを、左手に弱さをもって生きているのだろう。

個人的おすすめ度 4.0