物語は、ある女性が葬儀屋を訪れ、自らの葬儀を準備し、その日に亡くなるというところから始まる。この事件を解決するために活躍するのは、元刑事のホーソーンと作家ホロヴィッツである。癖のある探偵とその相棒というコンビは、探偵小説の王道であり、ホロヴィッツの視点がまさに読者である私自身の視点である。
この作品の面白さは言うまでもなく、オーソドックスな仕掛けが重ね掛けされた謎解きである。謎を解いたつもりが裏をかかれているという繰り返しで、最後まで騙され続けてミステリーの醍醐味を味わうことができた(私が単純だからか?)。
それに加え、ホーソーンをはじめキャラの濃い登場人物たちの姿がとても魅力的である。それぞれの個性が際立ち、たとえ誰が犯人であったとしても、そこに人間味を感じられるような人間の体温を感じる。
流石としか言いようのない完成度のミステリーである。シリーズ化される見込みがあるようなので、新しい作品が出版されることを今から心待ちにしている。
個人的おすすめ度 4.5