百年にわたる日本マラソン界の歴史を振り返ると、数々の名ランナーが存在していた。本書は、その中から八人を厳選し、それぞれのマラソンに対する取り組み方や、その半生を紹介したもので、42.195キロを走るというある意味では非常に原始的な競技に、これほどのドラマがあるのかと心を揺さぶられた。
八章のタイトルとなっているのはそれぞれ、金栗四三、孫基禎、田中茂樹、君原健二、瀬古利彦、谷口浩美、有森裕子、高橋尚子であるが、彼らと同時代を走ったライバルたちも多数紹介があり、マラソンに興味がなくともその存在は広く知られているものと思う。2003年に出版されているので、直近20年の選手は出てこないが、それでも私自身がリアルにその活躍を覚えている選手も多かった。
各選手の人物像がとても興味深く描かれているので、マラソンファンはもちろん、そうでない方もぜひ読んでみてもらいたい一冊である。
個人的おすすめ度 4.0