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サヴァイヴ(近藤 史恵) – まったくの拓の読書備忘録

サヴァイヴ(近藤 史恵)

自転車ロードレースのプロの世界を描くサクリファイスシリーズの第三弾。第二作までの主人公である白石誓だけでなく、ライバルでもあり仲間でもあった伊庭和実、そして白石がかつて所属していたチームのエースであった石尾豪ら、個性的な面々が人生かけて臨むロードレースの面白さや厳しさが描かれたオムニバス形式の物語。

これまでの物語の隙間を埋めていくエピソードにより、それぞれの人物像がより深く掘り下げられているのが面白い。そして、このシリーズ最大の見どころである臨場感溢れるレースシーンは、自転車レースを知らない私であってもまるでそこに参加しているかのような緊張感を味わうことができる。

トップ選手になるほど感じるであろう孤独は、本来、その立場に立たなければ実感することはできないが、極限まで追いつめられるようなギリギリの戦いは読んでいて胃がキリキリと痛むほどである。ロードレースにおける勝利とは、単に自分が勝つということではなく、自分を犠牲にしてチームの誰かを勝たせることでもある。そのあり方は、いわゆる社会における人間一人ひとりの役割と、その役割を演じることに対する複雑な感情を象徴しているようである。

さらなる続編もすぐに読みたいと思う。本当に心を揺さぶられる感動の物語である。

個人的おすすめ度 4.0