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すべてがFになる(森 博嗣) – まったくの拓の読書備忘録

すべてがFになる(森 博嗣)

20年以上前に書かれた密室ミステリー。IT系の技術を中心にいくつかの仕掛けが施されていたり、科学的な分析などがみられる工学系ミステリーでもあるが、今読んでも旧さを感じることはほとんどなかった。

孤島の研究所で隔離生活を送っている天才研究者、その孤島で合宿することになる大学教授とお嬢様学生ら、個性的すぎる面々。特殊な環境下であるせいか、殺人という異常な出来事に直面しても、なぜか淡々と過ごす彼らの姿が当たり前に思えてしまうのは、事実を単なる事象としてとらえて解明しようとする研究者の性ゆえだろうか。

コンピュータに疎い人が読むと細部を理解するのが難しいプログラムの説明もあるが、特にそこをつっこんで理解しようとしなくても物語を楽しむことに支障はないだろう。ただ、プログラミングに若干でもたしなみがあれば、なお楽しみがあるということを付け加えておきたい。

本編後の解説を読むと、この作品はシリーズの第一作目に過ぎず、このあと九作品が続いているという。それらすべてを読み終えたときに、著者の壮大な物語の全容が明らかになるということなので、機会をみて続きを読んでみようと思う。

個人的おすすめ度 3.5