「俺」がその一言を云えるようになるまでに、どれほどたくさんの時間を費やしてきたのだろう。誰にも気づかれない孤独の中で、真っ黒な胸の内を隠して、自分ではない何かを演じて生きていく人生の辛さよ。血を流しながら、死ぬこともでき…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
「俺」がその一言を云えるようになるまでに、どれほどたくさんの時間を費やしてきたのだろう。誰にも気づかれない孤独の中で、真っ黒な胸の内を隠して、自分ではない何かを演じて生きていく人生の辛さよ。血を流しながら、死ぬこともでき…
恋愛小説という先入観から読み始めた小説だったが、その期待は良い意味で裏切られた。二組の男女が温泉宿で過ごす一夜が、それぞれの視点から淡々と語られていくのだが、お互いの思いのすれ違いがなんとなく鬱々とした空気を感じさせる。…
2007年の三十九歳の俺、そして2039年のプロレスラー・アムンゼン、二人の物語はどう繋がっていくのか。そして、もうひとつ「こうふく みどりの」に描かれていた緑たちも同じ世界、同じ時間を過ごしているかもしれないという不思…
中学生の緑やその母、祖母、従妹など、悩みながらも強く生きていく女性たちはとても素敵だ。それぞれが幸福という人生のジグソーパズルを組み立てているようで、でも出来上がってくる絵は思い描いていたものとは違っていたりする。しかし…
無機質な感じのする主人公が、徐々に変化して魅力的な人に見えてくる、心に残る作品だった。日々、鬱々と感じてる固定概念を壊してみたら、実際の世界はこんなにも素晴らしかった、と気づくような作品。 個人的おすすめ度 4.0
イランで生まれた日本人の主人公が成長していく物語。両親、姉、近所のおばちゃんなど、個性あふれる人々が登場し、まったく先が見えない展開に引き込まれていった。奇想天外な物語の一方で、主人公は、人と人の距離感という、人生を生き…