カテゴリー: 4.0

星落ちて、なお(澤田 瞳子)

江戸から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎。絵に対するその姿勢を自ら画鬼と称し、人生のすべてを絵に捧げ、自らの息子や娘にも絵師となることを求めた。娘のとよと暁斎の関係は、親と子ではなく、絵を通した師匠と弟子の関係であった…

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三体 III 死神永生(劉 慈欣)

人類が他の知的生命体とどう対していくのか、地球あるいは太陽系にはどのような未来が待っているのか、想像を超える結末を迎える三体の完結編。宇宙は自らの存在を知られることで滅亡の危機に瀕するという暗黒森林の状態にある。その中で…

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バラカ(桐野 夏生)

東日本大震災が露わにしたのは、この国に住む人が気づかないふりをしてきた沢山の綻びだったのだろうか。絆の大切さが語られる一方、人の不幸を踏み台にした幸せが存在していることが露わになったのではないか。この物語は、闇の市場で売…

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雄気堂々(城山 三郎)

日本資本主義の父とされる渋沢栄一の半生は、いつ読んでも心が熱くなる。幕末に生まれ、幕府の在り方に憤りを感じながらも、やむを得ず徳川慶喜に仕えることになるのだが、一つ一つの出会いを無駄にすることなく、ピンチをチャンスととら…

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コロナ脳 日本人はデマに殺される(小林 よしのり / 宮沢 孝幸)

日本におけるコロナの実態をきちんとした数字をもとに考えると、これはパンデミックというよりマスコミによって作り上げられたインフォデミックであると言えるだろう。危機を煽るばかりのメディア、それに流される政治、そして不安の中で…

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キアズマ(近藤 史恵)

ロードレースの世界を描いたサクリファイスシリーズの第四弾は、大学生になって初めてロードバイクに乗り、その世界にのめりこんでいく若者の物語。これまでの三作品はプロの世界だったが、より読者に近い視点で描かれた本作を読むと、よ…

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サヴァイヴ(近藤 史恵)

自転車ロードレースのプロの世界を描くサクリファイスシリーズの第三弾。第二作までの主人公である白石誓だけでなく、ライバルでもあり仲間でもあった伊庭和実、そして白石がかつて所属していたチームのエースであった石尾豪ら、個性的な…

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似せ者(松井 今朝子)

異なる立場から歌舞伎に携わる人々を描いた四編の物語は、いずれも心にじわりと染みる秀作だった。 表題作の「似せ者」は、亡き名優に仕えた男が、似た役者に二代目を名乗らせて育てていこうとする話である。名優と似せ者、そして主人公…

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プライド (真山 仁)

ハゲタカシリーズの著者が描く短編シリーズは、社会問題を抉った鋭い作品ばかりだった。それぞれの作品を読むと、当時、似たようなニュースがあったなということを思い出す。企業や政治の不正は、単なる一企業や個人の問題ではなく、社会…

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