生きている限り明日が来る。その明日が辛くて、自分の生きる価値がわからなくなる時がある。あとから振り返ってみると、前を向けるようになったきっかけは誰かの温かさだったりする。そして、その温かさはずっと前から寄り添ってくれてい…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
生きている限り明日が来る。その明日が辛くて、自分の生きる価値がわからなくなる時がある。あとから振り返ってみると、前を向けるようになったきっかけは誰かの温かさだったりする。そして、その温かさはずっと前から寄り添ってくれてい…
未来の人間社会──物理的な意味での不老長寿を手に入れた人間だが、社会は成熟するよりもむしろ荒廃し、人の心は成長しないまま、よりエゴが露出した社会となっていた。犯罪者とその子孫たちを隔離し、それ以外の場所で理想的な社会を作…
収録されている短編7編は、決して後味の良い作品とは言えないが、人間の自分勝手な部分や、都合よく解釈してしまう理解力、あるいはそした人間社会の未来にある日常などを描いた作品群は、まさにこのタイトルのカミサマはそういないとい…
20年以上前に書かれた密室ミステリー。IT系の技術を中心にいくつかの仕掛けが施されていたり、科学的な分析などがみられる工学系ミステリーでもあるが、今読んでも旧さを感じることはほとんどなかった。 孤島の研究所で隔離生活を送…
文豪・谷崎潤一郎の三番目の妻、松子の妹である重子の視点から、谷崎家の人間模様を描いた物語。谷崎潤一郎という人物をここまで掘り下げているだけでなく、妻や姉妹、子どもたち、さらにはその伴侶などを、ここまで個性的に描いている作…
フェザーバンクという町では、かつて、子供が相次いで誘拐され、殺害された事件があった。犯人は逮捕されたものの、最後に誘拐された子供はは発見されないまま二十年が過ぎていた。そして、同じ町で再び子供が誘拐される事件が発生した。…
コロナウイルス対策の初期、2020年の1月から6月頃までに、専門家会議は何を目指し、どんな活動をしていったのか。また、その周辺環境、特に政府や各行政機関などの動きはどのようなものだったのかを追ったドキュメントである。 誰…
「七大陸最高峰 単独無酸素登頂」を目指し、最後の山であるエベレストに挑戦して亡くなった登山家・栗城史多。山のことを知らない人間が見れば、単純に凄い挑戦をしている登山家だと理解するだろう。しかし、それは彼を単なるエンターテ…
東日本大震災で津波にさらわれて行方不明になった知人が、ドイツのゲッティンゲンに現れる。そこで流れる淡々とした時間──そう、時間である。同じ場所にいても、過去を生きた人やそこにあったものと、今生きていてここにあるものは、重…
平安の世に生きた在原業平という人物が見事に浮かび上がる作品。伊勢物語は平安時代につくられた貴族の男性を主人公とした歌物語集だが、この恋多き主人公は業平をモデルとしているとも言われている。小説伊勢物語の中で、業平や女性たち…