在宅医療では、終末医療を行うことも多いのだろう。本書は患者や家族、そして医療関係者を長期にわたって取材した作品で、在宅医療の看護師をしていた一人の男性が、がんになって余命宣告を受けてからの人生の選択が描かれている。 男性…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
在宅医療では、終末医療を行うことも多いのだろう。本書は患者や家族、そして医療関係者を長期にわたって取材した作品で、在宅医療の看護師をしていた一人の男性が、がんになって余命宣告を受けてからの人生の選択が描かれている。 男性…
海に囲まれた日本では、大地の上にある国境線というのは実感がない。しかし、樺太(サハリン)にはかつて国境があった。 第一部は寝台列車で同地を縦断する旅、そして第二部は宮沢賢治が樺太を訪れた際の足跡を追う旅。鉄道に揺られ、過…
人は動物を恋人と同じように対等に愛すことができるのか。動物との性愛について調べ始めた著者出会ったのは、まさに動物をパートナーとして真剣に生きる人々ズーであった。 人間と同じように動物にとってもセックスの問題があるという観…
イギリスの労働階級のおっさんたちを描いたドキュメントだが、彼らの生き方から社会全体の在り様が見えてくる。特に、ブレグジット(EU離脱)を巡る人々の考えが結構深堀されていて、気づかされることがいくつもあった。労働党を支援し…
法律で裁くことができない罪があるとすれば、一人の教師を殺人教師としてでっちあげたモンスターペアレント、校長や教頭、そして似非ジャーナリストたちの罪であろう。 週刊文春が報じた福岡「殺人教師」報道や、それに追随した朝日新聞…
北海道・苫前村で大正四年に起きた三毛別熊事件を取材して描かれたドキュメント小説。羆(ひぐま)に襲われて7名の犠牲者を出したこの事件から、自然を前にしたときの人間の無力さを感じる。そのことを事件で思い知りながらも、そこにい…
4か月も太陽が昇らない極北の地を著者はなぜ冒険するのか。それは、この本を読めばわかるだろう。一言で言えばロマン。ただし、そこにあるのは命がけのロマンである。マイナス20度なんてまだまだ暖かいじゃないかと錯覚する臨場感あふ…
NHKスペシャルの取材を元に、アマゾンに暮らす先住民を描いたドキュメント。あまりに面白く、一心不乱に読み耽った。筆者の後書きにあった先住民の言葉「明日のことは約束できないが、百年後の約束ならできる」が心に強く残る。理屈で…
戦場カメラマン・キャパの一枚、崩れ落ちる兵士の写真は、スペイン内戦で共和国の兵士が反乱軍の銃弾によって撃たれた瞬間の写真として公開された。その写真は、本当にその瞬間を撮ったものなのかを追うドキュメント。綿密な取材と考察が…
戦前から戦後にかけて四度も脱獄した囚人のドキュメント小説。男がなぜ、どのように脱獄したのかというミステリーでありながら、国難の時代を捉えた歴史小説の側面もある。法を守るための監獄と戦争の間にいる看守らの苦悩なども見どころ…