痛快すぎる4つの短編には、いずれも今を生きる素敵な女性たちが登場する。彼女たちには、踏まれても踏まれても何度でも起き上がる強さがある。 「ランチのアッコちゃん」「夜食のアッコちゃん」は連作で、派遣社員の主人公と、先輩であ…
小説を中心に、時々ドキュメントやエッセイも読みます。
痛快すぎる4つの短編には、いずれも今を生きる素敵な女性たちが登場する。彼女たちには、踏まれても踏まれても何度でも起き上がる強さがある。 「ランチのアッコちゃん」「夜食のアッコちゃん」は連作で、派遣社員の主人公と、先輩であ…
五編の短編はどれも切ないが、決して後味は悪くない。それぞれの主人公が切なさを乗り越えて、あるいは切なさを抱いたままでも、前に踏み出していく瞬間が描かれているからである。 最期に収録された表題作は、主人公の喪失感や心の痛み…
想ー像ーラジオー。 番組の高らかなジングルが想像という電波に乗って聞こえてくる。 杉の木のてっぺんから放送を始めることにしたDJアークは、自分の家族の話をしながら、たくさんのリスナーの声を届け、そして素敵な音楽を流す。そ…
押し入れに隠されていた4冊のノートには、繰り返される殺人の告白が生々しく書き綴られていた。それを書いたのは母なのか、それとも父なのか、あるいは別の人物なのか。そしてそれは事実なのか、創作なのか。 単純なサイコパスのような…
ルシア・ベルリンの小説は、いずれも著者の人生の一部を切り取って脚色した作品だという。本書に収録された二十四編の短編は、それぞれの楽しみもあるが、読むほどに著者や家族、出会った人々などがリアルに感じられるような気がする。ア…
アフリカで難民となってオーストラリアに来ることになった女性サリマは、言葉もわからない場所で自分と子供たちが生きていくために働き始める。言葉の壁を感じたサリマは英語を教えてくれる訓練校に通い始め、そこで日本人女性ハリネズミ…
日本から見て地球の裏側でゲリラの人質になった人々が語る物語。死と背中合わせの中で語られる人生の一瞬は、もしかしたら偶然隣り合った他人が過ごしてきた一瞬かもしれない。すべての人にドラマがあり、自分自身にもきっとドラマがある…
これほど精巧に組み立てられたミステリーにはなかなか出会えない。様々な伏線がしっかり回収されていく王道の構成であり、かつ、二重構造の物語となっていて、一つの作品で二度楽しめるという構造になっている。 名探偵アティカス・ピュ…
ノース・カロライナ州の湿地で孤独に生きている女性カイア。経済的に厳しい環境下ではあっても、逞しく生きている彼女が見る湿地は、生命のエネルギーに溢れていた。しかし、湿地の少女と蔑まれた彼女は、この地で1969年に起こった殺…
警察学校は生半可な気持ちでは卒業できない。しかし、実際の現場に出てから命を削って仕事をしなければならない彼らにとって、ここでの学びは覚悟を決めるための時間でもあるのかもしれない。 警察官になろうとする一人ひとりにドラマが…